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岸田首相は「節電ポイント」でドヤってる場合か?今夏は猛暑、経済の効率性よりも“国民の命”重視を=斎藤満

物価高でブレる各国のエネルギー政策

ここには3つの要素がぶつかっています。

エネルギー・コストからみれば化石燃料による発電が最も低コストとなり、効率化、経済効果からみれば化石燃料の使用継続が優位となります。

しかし、それはわかっていながら、温暖化が待ったなしのスピードで進み、世界の生活環境を脅かしている、との認識も広がりました。

エネルギー問題では「効率」よりも「安全」をとったはずです。

ところが、ガソリンや食料という生活に欠かせないものの価格が高騰すると、低所得者の生活を脅かし、生活の安全、そして政府への支持という安全を脅かす面があります。

このため、効率性の象徴でもある化石燃料の代表、ガソリンの価格安定が、この短期的な生活安定、政権の安定という観点から採用されつつあります。

ここは短期の安全確保を優先し、効率重視に戻ったわけではないとの姿勢を示すためにも、ガソリン価格対策と並行して、再生可能エネルギーへのシフトも併せて進める姿勢を示す必要があります。

日本はロシアへの経済制裁を進める一方で、ロシアの石油(サハリン1)、天然ガス(サハリン2)の利権は確保すると言っています。

脱炭素化への取り組み姿勢が問われます。

食料安全保障の視点

次に食料についても、これまでの海外から安く食料を調達できるとして国内生産をおろそかにしてきましたが、海外から小麦などの穀物も安く買えなくなり、にわかに「食料安全保障」が注目されるようになりました。

食料全体でみると、日本の自給率はカロリー・ベースで38%と、先進国では異例の低さですが、小麦やトウモロコシなどは2割にも満たない状況です。

高くてもまだ買える間は良いのですが、小麦の最大輸出国はロシアで、ウクライナも主要な輸出国で、戦乱が長引くと、これらの地域からの輸入は困難になります。その分カナダや米国産の争奪戦になると、日本が安定調達できるか、わからなくなります。

東北地方などに遊休農地が数多くありますが、これらを活用して食料増産する体制づくりが必要です。

コロナ禍を経験して、すでにグローバル経済が破綻し、比較優位の原則によって生産を分担し、貿易でお互いに利益を上げる前提が崩れています。

頭を切り替えて、まずは食料の確保によって国民生活の安全確保が求められています。政府農水省の危機意識が欠けているように思えてなりません。

Next: 半導体不足でエアコン難民も。政府の危機管理能力が問われるとき

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