今夏は猛暑との予測が出ています。折しも、政府からは夏の電力不足に備えるようお達しがあり、家計や企業に節電ポイントの付与まで考えています。暑くて長い夏になるかもしれない時に、日本ではエアコン不足が指摘され、さらに故障しても修理に時間がかかると言われています。ラニーニャ現象は早くから指摘され、半導体不足は昨年からずっと指摘されていました。日本の危機管理は大丈夫でしょうか。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)
※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2022年6月24日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。
今夏は猛暑の予報。電力ひっ迫・エアコン不足で大丈夫か?
ラニーニャ現象の発生から見て、今年の夏は猛暑を予想する見方がありました。関東地方は6月中にも梅雨明けとなる可能性があり、その後は気象庁の「3か月予報」によると、今年は暑くて長い夏を迎えることになる可能性があります。
折しも、政府からは夏の電力不足に備えるようお達しがあり、家計や企業に節電ポイントの付与まで考えています。
暑くて長い夏になるかもしれない時に、日本ではエアコン不足が指摘され、さらに故障しても修理に時間がかかると言われています。猛暑が続く中で停電となったり、エアコンがないと、家の中で熱中症になるリスクが高まります。
ラニーニャ現象は早くから指摘され、半導体不足は昨年からずっと指摘されていました。日本の危機管理は大丈夫でしょうか。
物価高か脱炭素か
そこでまず問われたのが、ガソリン高対応です。
日本では岸田政権がガソリン価格の急騰を抑えようと、石油元売りに補助金を出し、ガソリン価格の上昇を抑えようとしました。
米国ではイエレン財務長官が、ガソリンや食料価格の高騰は生活に甚大な影響をもたらすとして、ガソリン税の一時停止や燃料税の引き下げを支持すると述べました。
トリガー条項発動に否定的な日本の財務省とは対照的です。
物価高は確かに国民生活を脅かしています。その一方で温暖化が世界の異常気象にもつながると認識され、脱炭素の動きが世界に広がりました。
その中でコロナ禍対策による大規模な需要追加やウクライナ戦争もあって、原油価格や資源価格が高騰し、世界にインフレが広がっています。
米国でも40年ぶりという高いインフレ率に直面、特に車社会の米国ではガソリン高騰に対処せざるを得なくなりました。
しかし、この日米の対応に対しては、高いガソリンを機に、脱炭素の流れを強める機会を失うとの批判があります。
過去の石油危機に際しては、その時は経済の負担が大きかったものの、省エネが進み、経済のスリム化、効率化をもたらしたとの評価もありました。
今回も世界的なエネルギー高を機に、化石燃料から離脱し、再生可能エネルギーへのシフトを進めるべきとの声があります。