行き当たりばったりでロシアを支援する習近平
それにも関わらず、台湾への軍事威嚇や尖閣諸島の領海侵犯を繰返すなど、無謀な行為を重ねている。
台湾には、多くの潜在的な軍事支援国の名前が上がっている。尖閣諸島では、米国が日米安全保障条約の適用範囲と警告している。
これに対して、中国はいかなる戦略を持っているのか、まったく脈略のない行き当たりばったりの行動をしているのだ。
結局、中国は確固たる戦略もなく「成り行き」で、今回のロシア支援を表明し、結果的に大きな穴に飛び込んだのである。2月4日の中ロ首脳会談で、中国は「限りないロシアとの友情」を謳い挙げた。ロシアは、この中国の言葉を信じて、20日後にウクライナ侵攻に踏み切ったのだ。
ウクライナ開戦後、中国は経済・軍事の協力をせずに、ただのリップサービスで終わっている。
中国が「兵器飢餓」へ落ち込む危険性
中国は、ウクライナ侵攻でロシアを言葉のうえで支援している状態だ。わずかに、ロシアの原油輸入を増やす程度に止まっている。
それにも関わらず、NATOは中国に対して「中ロ枢軸」と規定し、「民主主義体制への挑戦」と警戒姿勢を強めることになった。中国の迂闊な言動が招いた面が多々あるのだ。
それだけに、中国にとって大きな災難を招いたと言える。習近平氏が国家主席に止まる限りは、この災難から逃れられないであろう。
中国には間もなく、ロシアからの武器供給が滞る新たな災難が加わる。中国は、ロシアからの武器輸入第2位の国である。ロシアは、経済制裁で部品や半導体の輸入を止められている。現状は、これまでの部品在庫があって武器生産を続けられても、在庫が払底すれば武器生産はストップだ。その時期は、夏過ぎと予測されている。
ロシアからの武器輸入第1位のインドは、すでにこういう事情を米国から知らされている。インドは、武器でのロシア依存脱却を目指し、米国、英国、フランス、イスラエルとの間で共同の武器生産に入る準備をしている。5月に日本で開催された「クアッド」(日米豪印)首脳会談で、米印は武器生産の「密約」を交わした。インドが、武器生産の面で「敵国」中国より、はるかに有利な地歩を得たのだ。
中国は、ロシア支援などと言っている間に、皮肉にもインドの後塵を拝する事態が待っている。
中国も、すでに米国から半導体の供給を止められている。ロシアも同じ事態である以上、「中ロ枢軸」は、高級な武器生産が不可能という前代未聞の事態に陥る。ロシア軍は、ウクライナ侵攻で人的面と兵器面で重大な損害を被った。英国では、この回復に「数年を要する」と観測しているほどだ。こういう緊急事態下で、中国も一緒に「兵器飢餓」へ落ち込む危険性が高まっている。