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プーチンと習近平は「兵器飢餓」で新冷戦の敗者に。半導体不足で武器生産が不可能という前代未聞の事態に陥る=勝又壽良

ロシアの極めて安易な戦略で始まったウクライナ侵攻は、ロシアとロシアを支援する中国の運命すら変えかねない、大きな歴史の転換点をもたらしそうだ。プーチン氏や習近平氏にそういう認識がないとしても、歴史の歯車は確実にその方向へ向かっている。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

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※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2022年7月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

世界の民主主義国を敵に回したプーチンと習近平

第二次世界大戦が終わってから77年、欧州で再び戦争が始まった。ロシアのウクライナ侵攻は、超短期間で終結するという戦略の下で行なわれた。現実は、まったく異なった様相になっている。

侵攻で戦死のロシア軍将校が持っていた文書によれば、侵攻開始から12時間以内にウクライナが陥落すると予想していた。ウクライナ国防相が6月17日、CNNインタビューで明らかにしたものだ。

ロシアの極めて安易な戦略で始まったウクライナ侵攻は、ロシアとロシアを支援する中国の運命すら変えかねない、大きな歴史の転換点をもたらしそうだ。プーチン氏や習近平氏にそういう認識がないとしても、歴史の歯車は確実にその方向へ向かっている。

NATO(北大西洋条約機構)は6月30日、今後10年間を決める「新戦略概念」で、ロシアを「脅威」(敵国)と位置づけた。ロシアを支援する中国に対しては、「体制へ挑戦する」国家と警戒信号を上げた。中ロを世界秩序の破壊国とみており、ロシアはもちろん、中国にとっても容易ならざる局面に立たされたことは疑いない。

中ロは、等しく世界の民主主義国を敵に回したのである。

第二次世界大戦後、旧ソ連が崩壊する1991年までの世界経済は、米ソがそれぞれの経済圏を形成して互いに没交渉であった。現在は、その後グローバル化経済によって壁は取り払われた。中ロも、その恩恵に浴して高い経済成長を実現できたのである。

そのグローバル化経済が、これから本格化する「新冷戦」によって幕を閉じようとしている。

「新冷戦」で痛手を受けるのは中国とロシア

中ロと西側諸国にとって、どちらが新冷戦による痛手を多く受けるのか。

西側諸国には経済的厚みと技術の蓄積がある。中ロにはそれがないのだ。ロシアは資源国家でモノカルチャー経済である。資源を売って耐久消費財を買う経済だ。中国は、西側諸国の借り物技術と人口世界一という市場規模だけである。西側の新技術導入がなければ、せっかくの労働力も宝の持腐れになる。

中ロは、NATOの「新戦略概念」で大きなリスクに直面する。これまでグローバル化経済で潤ってきただけに、その打撃が大きいのだ。

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