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アメリカ覇権の延命を担う「パナマ文書」の株高・米ドル高効果=高島康司

高い倒産件数と企業収益の悪化

一方、3月の米雇用統計はおおむ良好な状況だった。非農業部門雇用者数は前月比で21.5万人増となり、予想の20.5万人を上回っている。
(※編注:4月米雇用統計は予想20.2万人に対し16万人増となった)

だが、それにもかかわらず今年に入ってからの大企業の倒産件数は増大している。「S&Pレイティング・サービス」によると、今年に入ってからの大企業の倒産件数は46社と記録的な高さになっているという。破綻した企業の多くは地方の大企業で、最初の3カ月で破綻件数が46社というのは、リーマンショックが起こり米経済がマイナス成長に転落した2009年以来だとされている。

調査が実施された時期がずれているので、3月の雇用統計には、この企業破綻の影響は反映されていない。しかし、大企業を中心にした倒産件数がこれからも増大するようであれば、雇用統計も突然と悪化することは避けられないと見られている。

さらに、「S&P500」の優良大企業の収益も悪化の一途だ。米大手紙の「USAトゥデイ」の記事によると、2014年のピーク時に比べ、収益は18.5%も減少している。また、中小も含めた全米の企業平均では、8.5%の減少だという。

相次ぐ大企業の社債格下げ

そしてこれに伴い、大企業の発行する社債の格下げも相次いでいる。格付け大手のスタンダード・アンド・プアーズによると、「S&P500」の企業の社債の格付けは平均して「BB」だという。これは企業が期日通りに債務の返済が困難となる可能性があることを示す格付けだ。

現在までのところ、すでに61社の大企業が格下げされた。リーマンショックで頂点に達した前回の金融危機が本格化する少し前の2007年の半ば、業績の悪化から79社が格下げされている。

一時派遣労働者の雇用状況とともに、格下げされた企業の件数は不況の突入を示す予兆と見られている。この件数がこのまま増加すると、不況の突入が避けられないとの認識が広まるかもしれない。

Next: 米国民は景気の先行きを悲観?世論調査/上昇し続けるNYダウの不可解

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