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安倍ロスで変わる内外の政治バランス。岸田総理の「宏池会」勢力拡大で”アベクロ緩和”終焉も=斎藤満

清和会から宏池会

国内では最大派閥安倍派がトップを失って、残された幹部が右往左往していると言います。

下村、塩谷、西村氏らではポスト安倍を担うには荷が重すぎます。米国のバイデン政権は、そもそも安倍派(細田派)の清和会の終焉、宏池会への権限シフトを考えていた節があります。安倍派がトップを失い、権勢が低下することはほぼ間違いなく、岸田総理の宏池会が影響力を増すと見られます。

そうなれば、選挙後の人事に影響が出そうです。セクハラ疑惑が出た細田衆議院議長は安倍派の重鎮ですが、彼が議長職を去り、安倍派以外から新議長が就任すると見られます。

また政策策定のかなめ、政調会長のポストも、安倍氏に近い現在の高市氏の交代が予想されます。米国CFRのバイデン政権との連携が強まり、日本の核武装論は後退しそうです。

経済運営でも、「骨太方針2022」では随所にアベノミクスの残像が見られ、安倍元総理への配慮が伺えますが、その配慮の必要性がなくなります。改めて岸田流の新しい資本主義を通すチャンスとなりました。その中には金融政策との関連も含まれます。

アベクロ緩和の修正へ

一部の報道では市場はアベノミクスは変えようがないと見ていると書いていますが、安倍ロスは日本の金融政策にも影響しそうです。

黒田総裁の下でここまで続けられた大規模緩和は、元をただせばアベノミクスの中核政策として2013年から始まり、アベクロ(安倍・黒)緩和ともいわれました。

しかし最近では物価高の中で日銀が円安につながる金融緩和を続けることに、政財界からも批判の声が出るようになりました。それでも黒田日銀は、安倍元総理の支持を頼りに、何が何でも緩和策を続けてきました。

黒田日銀総裁にとっては支えとなってきた安倍元総理が亡くなられたことで、一気に風当たりが強まります。金融政策は日銀に任せると言ってきた岸田政権も、物価高対策を本格化する中で、円安につながる大規模緩和はありがたくない存在です。

実際、財務省は米国に円安抑止に協力を求めたと言われます。

しかし、来日中の米国イエレン財務長官は、鈴木財務大臣に対して、日銀がYCC(イールドカーブ・コントロール)を続けるなかでは米国も協力のしようがないと述べたと言われます。半期に一度の米国財務省の為替報告書でも日銀のYCCを取り上げ、円安を止めるための為替介入には、事前に米国に了解をとる必要性を指摘しています。

円安を止めたければ、日銀の金利コントロールを止めよ、ということのようです。

Next: 岸田内閣にとっては追い風?金融政策の転換で円安大幅修正の可能性も

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