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日清、サントリー、飲食料品値上げラッシュの株価高騰に浮かれる人々を襲う1年後の落胆=Team xoxo

飲食料品の値上げが止まらぬ中、飲食料品を代表する企業の株価が高騰している。飲食料品の値上げ発表は、短期的には飲食料品業界の株価の好材料となるが、1年後を見てみると、インフレへのリスクヘッジになるかは疑問もある。出口戦略をもって取り組んだほうがいいだろう。(『 元外資系レジェンズ Team xoxo あなたに寄り添う投資情報 元外資系レジェンズ Team xoxo あなたに寄り添う投資情報 』)

※本記事は有料メルマガ『 元外資系レジェンズ Team xoxo あなたに寄り添う投資情報 元外資系レジェンズ Team xoxo あなたに寄り添う投資情報 』2022年9月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め 今月分すべて無料のお試し購読 今月分すべて無料のお試し購読 をどうぞ。

プロフィール:Team xoxo
元外資系金融機関出身3人で結成した『あなたに寄り添う』をテーマに金融リテラシー向上で人生を楽しむお手伝いを目標にするチームです。

かえるさん:証券歴27年だがTeam xoxo代表兼癒し担当。サラリーマン生活のそのほとんどが欧米外資系証券だが実は大手日系証券会社出身。地方個人営業から外資系証券でのマネジメント業務までありとあらゆる証券業務を日本とロンドンで経験。趣味は食とクルマ。

ロン:証券業界歴37年でTeam xoxoの精神的支柱兼ご意見番。セールストレーダーとして外資系証券の第一線で活躍。スモールキャップアナリストがキャリアスタート。それゆえに銘柄発掘と企業分析が得意。趣味はスキー、ランニング、登山とベイスターズ。

JB:業界歴20年以上でTeam xoxo唯一のバイサイド出身。日系・外資系資産運用会社におけるグローバル株式ファンドマネジャー経験。現在は軸足の半分を海外に置き、個人投資家や中小企業支援。保守的取引と積極取引のバランス感覚に定評。

飲食品値上げラッシュ、対抗するには株なのか

飲食料品の値上げラッシュが止まらない。2022年は年間で2万品目で値上げが行われ、平均で14%の値上げとなる計画だ。公共料金の値上げとともに生活を確実に圧迫する。値上げは、買い控えで消費後退にもつながりかねない。しかし、カップヌードルの日清、マヨネーズのキューピーなど、値上げ発表後の株価は堅調なことが多い。値上げ分は株で取り戻そう。今回は、値上げと株価の関係に迫る。

インフレによる値上げラッシュ加速

帝国データバンクによる上場飲食料品メーカー105社の調査(8月末)で、2022年の値上げ(予定を含む)は、約2万品目に達することがわかった。9月は約2,400品目、10月は2022年の月間最高となる6,500品目と、値上げラッシュが続く。値上げの平均は14%、夏から秋にかけて値上げ幅が大きくなってきた。4月末時点の同調査では、年間値上げ予定品目数は6,100品目、平均は11%だった。品目数も値上げ幅も加速している。

値上げの背景は、コロナ禍での物資の不足、物流チェーン混乱に加え、ロシアのウクライナ侵攻による原燃料費の高騰で、インフレが世界を直撃しているからだ。食用油、小麦などの原材料高に加え、原油高により、容器や包装資材、物流費が上昇している。また、飲食料品の原材料は輸入依存が高いため、円安は輸入価格の上昇で値上げ要因だ。

「値上げ」は「買い」の株式市場

株式市場では、飲食料品に限らず「値上げ」は好材料視されることが多い。素材でも鉄鋼でもタイヤでも「値上げ」報道で、株価が上昇するのを見たことがあるのではないだろうか。通常は値上げは需要が強いときに行われることが多い。値上げしても需要が落ちないなら、売上の増加、利益率の改善につながる。

飲食料品メーカーにとっても同じだ。10%値上げすれば、単純には売り上げは目先10%増える。ただ、今回は需要が強いからでなく、原材料高で採算が悪化しているための値上げである。インフレ傾向で電力、ガス料金などの公共料金が上昇して家計費が苦しくなるなか、飲食料品の値上げは買い控えを招きかねない。

買い控えで販売数量が減る場合は値上げ効果が発揮できない。一般的には、値上げしても買わなくてはならない飲食料品には好影響という見方が主流である。

値上げで買われた日清食品、キューピー

日清食品やキューピーは「値上げ」で株が買われた。

カップヌードル最大手の日清食品ホールディングス<2897>は、2022年2月3日に6月出荷分から主力製品である即席袋麺、即席カップ麺等を平均で5~12%値上げすると発表した。2019年6月以来3年ぶりの値上げだ。日清食品の株価は値上げを発表した2月には12.8%上げ、2月25日にはその時点での年初来高値の9,370円をつけた。その後、値上げを実施した6月から再び上げ足を速め、8月23日には10,260円の年初来高値をつけている。年初来17.2%の上昇である。(9月9日時点)

日清食品ホールディングス<2897> 日足(SBI証券提供)

日清食品ホールディングス<2897> 日足(SBI証券提供)

マヨネーズ最大手のキューピー<2809>の場合は2021年に値上げして、21年の株価が好調だった。すでに、2021年7月、2022年3月と2度のマヨネーズの値上げを実施し、さらに7月1日には2022年10月からに再々値上げを発表した。値上げ幅は定番の「キユーピーマヨネーズ 450g」で約9%。

値上げを始めたキューピーの2021年の年間パフォーマンスは9.3%高。今年は年初来は9.6%安(9月9日時点)と下げているが、今年4月には年初来安値で2,083円の安値をつけた後、値上げ発表後の7月7日に4月以来の高値の3,384円をつけている。キューピーは値上げを始めた22年には上昇、値上げ2年目には下げていることをちょっと覚えておいて欲しい。

キユーピー<2809> 週足(SBI証券提供)

キユーピー<2809> 週足(SBI証券提供)

ビール大手各社は10月からの値上げを発表、ペットボトル飲料は5月に大型を値上げ、10月からは小型ペットボトルの値上げを大手飲料各社が発表した。サントリー食品インターナショナル<2587>は年初来+23.1%高。キリンホールディングス<2503>は+20.6%高と買われている。(9月9日時点)

 サントリー食品インターナショナル<2587> 日足(SBI証券提供)


サントリー食品インターナショナル<2587> 日足(SBI証券提供)

キリンホールディングス <2503> 日足(SBI証券提供)

キリンホールディングス <2503> 日足(SBI証券提供)

Next: 値上げ発表で買われるが、1年後には収益低下で売られる習性

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