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日本人を貧乏にしたのは大企業。カルト教団だけでなく「お友達企業」と自民党の癒着も清算させるべき=高島康司

実際の悪循環

さて、こうした結果からなにが見えて来るだろうか?

それは、大手主要メディアが定説として取り上げる悪循環ではない。本当の悪循環とは、次のようなものになるはずだ。

イノベーションと開発投資の不在

国際競争力の低下

売り上げの減少

賃金を低く抑える
中小企業に値下げを強要

経常利益の確保

内部留保金として蓄積
役員報酬の増額

つまり、イノベーションと開発投資がないため国際競争力が低下し、売り上げが減少した。しかし大企業は賃金を低く押さえ、さらに取引のある中小企業に価格を下げることを要請して売り上げの減少分を転化し、経常利益は確保したということだ。

そしてそのように出した利益の大半は内部留保金にして、積極的な投資を控える。すると、イノベーションの投資が行われないので国際競争力はさらに低下する。一方、さらなる賃下げと中小企業への値下げ強要で経常利益は膨らみ、それに対応して内部留保金も増えるという悪循環だ。また、増大した利益で大企業の役員報酬は増えるが、賃金は低下したままだ。

もちろん、将来の設備投資や開発投資のために一時的に備蓄された健全な内部留保金もある。こうした金は一定額に達すると投資に使われる。しかし、租税回避地に金融投資をしたり、自社株買い、また現金の預金として蓄えられる不健全な内部留保金もある。日本の場合、不健全な内部留保金の総資産に占める割合は、諸外国の平均6%に対し、2倍の12%だ。生産的な投資をしていないのだ。

いま多くの資本主義の国々には問題はある。だが少なくともアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、韓国、台湾のように毎年賃金の伸びが確実に見られる国々では、賃下げと中小企業への値下げ強要で内部留保金を一方的に蓄積し、リスクのある投資はしないという構造は見られない。

多くの先進国では、もちろん大規模なリストラなどもあるが、企業の利益の相当分は再投資される。人材や新しいテクノロジーの開発投資も積極的に行われ、それが国際競争力のある製品を生むと同時に、多くの新しい雇用を作り出す。このような投資の活性化によって、労働力の需要は大きくなり、賃金が上昇する。

Next: 既得権益固定化の構造を正す必要。3つの簡単な解決策

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