大企業と富裕層を優遇する政策で庶民は置き去り
日本の税収構成比を消費税導入時の1989年と2022年時点で比べてみれば、消費税が法人税減税や所得税減税の穴埋めに使われてきたことは、一目瞭然です。
★1989年→2022年
消費税6%→33%
法人税35%→20%
所得税39%→31%
いまや89年から導入してきた消費税収が一番大きくなっているのです。
政府与党は、消費税率アップは、社会保障充実のためと称してきましたが、消費税は一般税(普通税)であり、目的税とはなっていません。お金に色はついていないのです。
法人税減税のおかげで、大企業はGDPに匹敵する500兆円を超える内部留保を積み上げてきました。
内部留保とは、企業の純利益から税金や配当、役員賞与などを除いた残りで、利益剰余金や利益準備金と呼ばれる、いわば「企業の儲けの蓄積」なのです。
しかも輸出大企業は、輸出に消費税がかからないため、毎年消費税の輸出還付金(約6兆円)を戻してもらっています。
また、そのうえ大企業ならではの特別減税の優遇措置で約l5兆円規模の税額カットまでも受けています。
そのせいで大企業の法人税率は、小規模零細企業や中堅企業の法人税率よりも低くなっており、不公平もいいところなのです。
大企業の自民党への政治献金が効き、エビで鯛を釣るがごときオイシイ状況が続いてきたわけです。
さらに大企業は、アベノミクスの円安政策のおかげで、自然増収の享受が出来て、バカにならない増収増益効果がありました。世の中、大企業だけがトクをする経済環境だったのです。
おかげで、大企業が賃上げもせず人件費を削り続け、国内での設備投資もケチってきたため、国内需要はしぼむ一方でした。
つまり、株価が上がって経営陣の報酬さえ潤沢であればよし…とする風潮になっているのが現状なのです。
金融所得課税さえも、20%(復興特別所得税除く)と低率に抑えてきたので、富裕層は株式の配当や譲渡益のほうが、役員を務める報酬の所得税率よりも、株の配当金のほうの大幅に税負担が軽くなり、潤ってきたのでした。これまた不公平税制もいいところだったのです。
安倍元総理は、外国に毎年消費税率3%相当分をプレゼント
しかも政府は財政が厳しい…と年中言いながらも、賛否の中で国葬にまでなった安倍晋三元総理は、8年7カ月の在任中に「地球儀を俯瞰する外交」と称し、カモネギ大名外遊で、60兆円を超える税金を各国にばら撒きました。
さすがの「外交の安倍」を自認しただけのことはあったのです。
何より、訪問地域・国・回数および外国にばら撒いた国民の税金だけでも、日本の歴代首相の中ではナンバーワンだったからです。
1回2~3億円もかかる大名外遊の旅費を使って、100か国以上の地域や国々を巡り、60兆円を超えるお金をプレゼントしてきたのですから、まことに国葬するにふさわしい、偉大なお金の使いっぷりでした。もちろん、その外交の成果については、皆様が推して知るところなのです。
当然ですが、ばら撒いた60兆円の多くが、国会審議を経ることもなく、お得意の閣議決定のみで、持ち出された税金だったのです。
60兆円を在任期間の8年7ヶ月の年平均にならすと、毎年7兆円弱の税金を各国にばら撒いた計算になります。
つまり、消費税率換算では、毎年3%相当分(1%=2.6兆円)を外国にプレゼントしてきたことになるのです。あっぱれです。
一国の代表が、この有様ですから、日本の財政規律ははたらかず、先行き財政破綻でハイパーインフレまで突き進むしかないのかもしれません。
国の借金は積み上がっており、2021年度にざっとGDPの240%の1,200兆円にものぼりました。敗戦直後の国債発行額のGDP比率200%をゆうに超えています。
消費税率はこれから、まだまだ上がる
さて、ここにきて冒頭で紹介した消費税に付随する「インボイス制度」の導入が2023年10月から始まります。
10月から課税登録事業者として認められるためには、来年3月末までに税務署に申請しておく必要があります。
「インボイス」とは「適格請求書等保存方式」のことですが、8%と10%の複数税率が導入されてから3年が経ちますが、現行の帳簿上でのやりとりだけで、今までまったく税務上の問題は生じていないのです。
にもかかわらず、なぜこんなに面倒くさいインボイス制度などを導入するのでしょうか。
答えは簡単です──
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- 弱いものイジメの消費税!インボイス制度導入は、さらなる消費税率アップへの布石!今こそ消費税反対!(10/3)
※本記事は、神樹兵輔氏のルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2022年10月3日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読を
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『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』(2022年10月3日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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1990年のバブル崩壊から続く「失われた30年」を経て、ニッポン国の衰退ぶりは鮮明です。デフレ下でGDPは伸びず、賃金は上がらず、少子高齢化で人口は減り、貧富の格差も広がりました。いったいどうしてこんなことになったのでしょう。政治、経済、社会、マネーや投資に瑕疵があったのは否めません。本メルマガは、そうした諸分野に潜む「闇」を炙り出しグイグイえぐっていこうとするものです。