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なぜ日本は「安い国」に成り下がったのか。安い物価のツケを低賃金で払い続けてきた私たち、インフレで総貧困化へ=俣野成敏

外国人が日本の安さに惹かれてやってくる

織田:他の事例も挙げましょう。たとえば最近、東京ディズニーランドが値上げをしたことが話題になりました。今は入場時間や日にちによって、入園料は7,900円から9,400円に分かれています。

かなり高くなったと思われる方もいるでしょうが、カルフォルニアの入園料が約1万6,000円、フランスや上海の1万円超と比べれば、まだ安いほうだということがお分かりいただけると思います。

俣野:もともと日本は物価が安いですからね。さらに今回の円安でかなり安くなっていますから、外国から続々と観光客がやってきている状態です。

織田:外国人が日本の安さに惹かれてやってくるということは、逆を言うと、それだけ日本円の購買力が低下しているということでもあるのです。

この30年間、日本で物価上昇率が2%を超えたのはたった1度だけ

俣野:もっぱら物価が安いと言われる日本ですが、実際のところはどうなのでしょうか。

織田:こちらは、消費者物価指数と企業物価指数の推移がグラフとして添付されている記事です。
※参考:企業物価、36年ぶり高水準 下請け悲鳴、3割「転嫁できず」- 時事ドットコム(2022年2月10日配信)

2016年からの比較ですが、ご覧の通り、消費者物価指数はほぼゼロ%で推移しており、22年になるまでほとんど変化していなかったことがわかります。

対する企業物価指数とは、企業間で取引される物価の推移です。消費者物価指数に比べると、企業物価指数のほうはかなり上下していたことがわかると思います。

実際の企業物価指数はこれだけ波打っていたにも関わらず、消費者物価指数がほぼ一定だった理由は、企業努力もありますが、一番は消費者のデフレマインドを恐れた企業が、原価の上昇分を価格に転嫁できていなかったからです。

令和4年度年次経済財政報告を見ると、バブルが崩壊した1992年以降、消費者物価指数が2%を超えたのは、日銀が異次元金融緩和政策を開始した翌年(2014年)の1度だけです。

一方、企業物価指数はバブル崩壊や金融危機、災害などに見舞われる度に上下してきました。それでも対前年比で10%超えをしたのは、これまで3回だけ。

その3回とは、1973年(15.7%)、74年(27.5%)、1980年(15%)。すべてオイルショックに起因したものでした。

その企業物価指数が、2022年1月から3月の第1四半期に9.2%を記録。まさに1980年以来の高い数字です。

Next: 上がらぬ賃金。安い物価のツケは、実はすでに支払っている

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