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「老後の住宅は子どもに残す」が約6割。親のエゴで残された家屋に困惑する子どもたち=牧野寿和

3. 空き家数と空き家率の推移

その空き家については、総務省が5年ごとに実施する「住宅・土地統計調査」の結果のうち、空き家と空き家率の推移」を見てみます。

なお、この調査では「空き家」とは、建築中や一時現在者のみの住宅を除いた、居住世帯のない住宅のことと定義しています。また、「空き家率」とは、総住宅数に占める空家数の割合と定義しています。

・この2018年の調査結果で、全国の空き家は8,489戸、空き家率は13.6%

・前年の2013年の調査では、全国の空き家は8,196戸、空き家率は13.5%

・1998年の調査では、全国の空き家は5,764戸、空き家率は11.5%

と、年々空き家の戸数が増加していることがわかります。

私のところにも、持ち家や実家が将来、空き家になることを心配して相談にみえる方がいますが、空き家になる理由はいろいろとあります。

4.現実を直視しないと子どもが困る?

上述の1.2.の回答者は、60歳以上で全国に住んでいる1,870人です。回答者には80歳以上の方もいます。

また、回答者の住まいは、

・持家(一戸建て)81.4%

・持家(分譲マンション等の集合住宅)6.8%

と、88.2%の人が住宅資産を持っている人です。

当然、年齢や住んでいる地域によって考え方に開きはあります。

しかし、上記の3つの調査結果から、親から子どもへの相続を考えたとき、

1.の住宅資産の老後の活用予定では

・子孫に残しておく:61.8%でした。

2.の自分が亡くなった後の現在の住まいの見込みでは、

・子供や配偶者(あるいはパートナー)等が住む:66.8%でした。

3. の空き家数と空き家率の推移では、2018年の調査結果で

・全国の空き家は8,489戸、空き家率は13.6%でした。

つまり、これらの結果から、親は自分が持っている資産としての家を子どもに相続する場合、すでに子どもは親が住んでいるところ以外に家を持っていれば、親が子どもに自分たちの住んでいる家を相続したくても、もらう側の子どもにとっては手に余ってしまう。

これは、3.の 空き家数と空き家率の推移の調査をするたびに数値が上昇していく一因だと思うのです。

そう考えると、自分の資産の現実を直視して対策を考えないと、子どもが困ることになります。

自宅を相続するなら相当な準備が必要です。なぜなら不動産を活用するには、時間も費用も必要だからです。

子どもにとって不要だと思った実家も、時間をかけて検討すれば思わぬ資産価値が生まれる活用があるかもしれません。

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image by:aomas / Shutterstock.com
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【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』(2022年10月26日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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