織田:今、急激な円安になっている理由は、先進国の中にあって、日本だけが金利を引き上げていないためです。とはいえ、日本も他国の動きに追随してしまうと、日本国債の金利も上がり、国債価格が暴落する危険性があります。
日本は、金利を上げるに上げられない状況なのです。
為替介入で、いわば無理やり円高の流れを作り出そうとしているわけですが、市場で起きている日本円を手放す動きまでは止めることができません。
これ以上、円安が続けば、日本はスタグフレーションに突入する可能性があります。かといって金利を上げれば、国債が暴落して国を危機に陥れる可能性があります。
現状は、ぎりぎりの状態だといっても過言ではありません。
※参考文献:『12大事件でよむ現代金融入門』(倉都康之、2014年、ダイヤモンド社), 『マネーの進化史』(ニーアル・ファーガソン他、2015年、早川書房)ほか
資産の目減りを防ぐには、現物資産を持つこと
俣野:では、私たちは具体的にどうやって自分の身を守ればいいのでしょうか。
織田:方法の1つに、現物資産を持つことが挙げられます。現物資産は、「金融資産よりは価値が目減りしにくい」という利点があります。
現物資産というと、真っ先に思い浮かべるのが不動産投資ではないかと思います。
確かに、不動産投資は有効な資産運用法ではありますが、反面、リスクもあります。
通常、不動産投資には多額の資金が必要で、コストもかかります。ましてや海外不動産ともなれば、信用できる業者を見つけるのが難しかったり、国の法律が突然変わったりと、様々な不安要素があります。
海外物件を賃貸付けするのは、素人向きではないというのが実情です。
俣野:不動産投資には、事業家的な要素が含まれていますしね。
織田:そこで今回ご紹介するのは、イギリスの“ローンノート”という出資法です。
ローンノートは「ディベロッパーに出資する」というもので、イギリスでは一般的な投資法です。出資金は信託保全されており、万一の際、第一抵当権は出資者にあります。
俣野:これなら、物件購入のリスクを避けられますね。
織田:ローンノートの投資期間は原則3年で、リターンは年間10%から12%です。個人でも参加できるよう、最低投資金額は100万円以下に設定されている場合も多くあります。
もともと日本とイギリスでは、金融事情が大きく異なります。









