円相場が乱高下を繰り返しています。政府日銀の為替介入を行っていますが、効果は一時的なものでしかなく、現在の円安の流れは容易に変わりそうもありません。私たちは、このまま円安によるインフレを受け入れなければならないのでしょうか?一般市民ができる資産「目減り」への対処法を考えます。( 俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編 俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編 )
※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編』2022年10月25日号の一部抜粋です。続編にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。2012年独立。フランチャイズオーナーや投資家として活動。サラリーマン時代に副業で出版した『プロフェッショナルサラリーマン』でビジネス書作家デビュー。「仕事術」「お金」「コンディション」「副業」などテーマは多岐にわたり、異分野で10万部超えを3度達成。著者累計は49万部。これからは、サラリーマンでも副業やお金の知識向上が不可欠と実感し、啓蒙に尽力している。ビジネス誌やwebメディア掲載実績多数。『まぐまぐ大賞』を6年連続受賞。
私たちは、やってくるインフレにどう対処すべきか?
こんにちは、俣野成敏です。今回は「私たちは、やってくるインフレにどう対処すべきか?」特集をお送りします。
円相場が、乱高下を繰り返しています。最近、政府は告知せずに介入を行う“覆面介入”に切り替えたとも言われています。とはいえ、効果は一時的なものでしかなく、現在の円安の流れは容易に変わりそうもありません。
私たちは、このまま円安によるインフレを受け入れなければならないのでしょうか。それとも、他国に追随して利上げをすれば、日本のインフレは止まるのでしょうか。
本日も、海外金融の専門家・織田耕平さんをゲストにお呼びしています。今回は、織田さんに「今後の予想とインフレ対策について」お話しいただきたいと思います(本特集は会話形式でお送りいたします)。
プロフィール:織田耕平(おりた こうへい)
国内の大手精密機械メーカー海外営業部に配属され、東南アジア・オセアニア地区のセールスマネジャーとして国際ビジネスの現場で経験を積んだ後、国内証券会社に転職。超富裕層を相手に、プライベートバンカーとして個人・法人の資産形成から事業承継に至るまでを一手に引き受ける。そこで航空機を用いた資産運用法と、それによる高い節税効果に気づき、航空機専門商社・リース会社に転職する。各業界を比較検討した結果、「これまでの経験すべてを活かせる場として、海外金融業界で生きていく」決意を胸に、2015年4月に起業。シンガポールにてJIFPA(S)PTE LTDを立ち上げる。現在は、JIFPASのCEOにて海外不動産コーディネーター、シンガポール富裕層へのコンサルティング、金融機関向けに金融商品の開発等を手がけている。
※本記事は、織田さんへの取材をもとに、筆者(俣野)が適宜内容を補って執筆しています。
このまま円安が続くとどうなる?
俣野:再び、日銀が為替介入を行なったとの報道がありました。この円安がいつまで続くのか、見通しが立っていない状況ですが、今後はどのようになるとお考えでしょうか。
織田:実は、すでに過去の歴史で似たような事例がございます。1992年に起きたポンド危機です。これは、世界3大投資家の1人と呼ばれるジョージ・ソロス氏率いるクォンタム・ファンドが、同年9月15日から16日にかけて猛烈に英ポンドを売り浴びせ、イギリスを欧州為替相場メカニズムから離脱させたという事件です。
当時のヨーロッパは、各国バラバラの通貨を使っていました。彼らは為替を安定させるために、通貨間の変動幅を上下2.25%内に治める取り決めを行なっていました(欧州為替通貨メカニズム:ERM)。
しかし、1990年に東西ドイツが統一したことを機に、通貨間の均衡が崩れます。東西ドイツの経済格差をなくすために、ドイツ政府は大幅な財政政策を実施する一方、インフレを抑えるために金利の引き上げを行いました。
ドイツの急激な利上げに、イギリスはついて行くことができませんでした。それでもERMを維持しようとした結果、英ポンドは実際よりも高い価格にとどまっていました。
そこを、ヘッジファンドに狙われたのです。
俣野:当時のヨーロッパは、現在の状況とよく似ていますね。
織田:はい。2020年以降、世界はコロナによる経済の落ち込みを抑えようと、大盤振る舞いの財政政策を行いました。
その後、発生したインフレを抑制するために、アメリカを筆頭に次々と金利を引き上げている状況です。