円安が定着するとしたら「国力低下」?
ただ一点だけ、もしかしたら円安が戻らないのではないか?という可能性としてあるのが「日本の競争力低下」です。国の経済力が下がると、その通貨に対する需要がそもそも減ってしまって、その国の通貨の価値が下がると言われています。
実際に、昨晩のNHKニュースでは慶應大学の教授が「国力低下が円安の原因である」と言っていました。成長の格差によって、あらゆる面で安い国になってしまったことが、今になって円安という結果に繋がっていると。
私は(この発言に)かなり違和感がありました。成長の格差、確かに日本のGDPが上がってないというのは、事実としてあるわけです。
ただ日本が他国に比べて魅力のない国になってしまったというところには、かなり疑問を感じざるを得ません。ここに「労働者のスキルも落ちてしまった」とありますが、本当にそうなんでしょうか?
「日本安い」と歓喜する外国人
「日本安い」というところがあります。
確かにテレビのニュースで、外国人観光客の入国が解禁されて、日本にやってきて、円安によって安い、あるいは日本のもの自体が安いから、たくさん爆買いしているという話があります。
「他の国に比べると日本は安い」という声・コメントもあります。
これを見ると「あれ?日本ってもしかして、ものすごい貧乏な国になってしまったんじゃないか」という声も上がっているわけです。
ただ私は日本が、他国に比べて安いという事実は、確かに今現時点であるかもしれません。しかし貧乏な国になったかというと、それはどうなのかなと思うわけです。
なぜならそこには、単純にGDPとか単独の数字だけでは見えない「日本の特徴」あるからです。
続いて数字の話をしたいと思います。
GDPは日本だけが伸び悩む
例えばGDPの推移(上位6カ国)です。
アメリカ(ブルー)が順調にグーンと伸びています。
オレンジの点線が中国です、これが2010年頃、日本を逆転して世界2位。
日本が2位だったのが3位に転落するという状況になりました。日本(グレー)は、1995年ぐらいからほとんど名目値で伸びず、横ばいになっているわけです。
そうは言っても世界3位という地位は残って、直近では為替の影響もあってドイツに抜かれたという話もあります。ドイツも経済的に強い国ですから、この2・3・4位というところにはいるわけです。
ただ成長してないし、どんどん下がっているという事実は確かにあるわけです。
しかし、そもそもGDPの定義というところから思い出していただきたいのです。略さずに言うと「グロスドメスティックプロダクツ」です。要は国内総生産。
日本の中でどれだけ生産活動が行われているかという数字です。