いったんまとめ
簡単にこれまでの話をまとめます。
1人当たりGDPで見ると順位が下がっているように見えます。しかしそれは、高齢化によるところが大きいということ。
生産年齢人口当たりのGDPで見ると、アメリカは置いておいても他国と遜色ない水準です。
ちなみに先ほどの1人当たりGDPで、中国は出てきてません。それは、1人当たりで見たときに中国はまだずっと下にいるからです。
そして時価総額の序列です。
これはよく見るものなのですが、1990年の世界の企業の時価総額ランキングにかつて日本企業がトップテンを独占していたというような時代もありました。しかし今は全然姿も見えないということになっています。
1990年当時は、まさにバブルで高すぎた。
異常値だったという事が言えますし、今もトップがトヨタ自動車で、その後確かにそんなに大きな企業はないです。ただそういった飛び抜けた企業がないだけで、上場企業全体の利益水準は間違いなく増えているのです。
そして国全体としては、先ほど生産年齢人口当たりで見たときに、ちゃんと右肩上がりになっている通り、国全体(日本の大部分は中小企業なんですが)を含めた生産性は向上しているというのが、一つ確かな事実としてあるわけです。
だから「めちゃくちゃいい」と「完璧だ」というようなことは言うつもりはないんですが、悲観することはない。
日本の経済力に関して悲観する必要は、私は全くないと考えています。
もちろん強いて言うなら、日本のGDP全体は確かに伸びていないので、日本の中だけでこれからやっていこうとする会社は、さすがに将来性がないというのは確かだと思います。
高齢者にめちゃくちゃお金使ってくれよと言っても、彼らも将来が心配というところがありますから、なかなかお金使ってくれません。
ですから、日本の中だけでやろうとする企業には限界がある。一方で生産性自体はちゃんと上がってるし、企業は適切な動きをとっていると私は考えています。
日本が「安い」3つの理由
では冒頭にありました「日本が安い理由」というところを、改めて深堀りして考えてみたいと思います。
<理由その1:米ドルを使う人はドル高の恩恵(一時的)>
一つは、為替の恩恵はやはり大きいです。
米ドルとか、それに紐づくような通貨で買い物をしている人は、やはりドル高の恩恵を受けているというのは確かです。しかしこれは冒頭でも説明しました通り、一時的な要因だということが挙げられます。
その瞬間・瞬間の為替レートというのは、必ずしも巷で言われるような「国力を表すもの」ではないということは確かです。
もしそうだとするならば、東日本大震災後にドル円が75円まで下がりました。じゃあその時、日本の国力がすごく強かったのかというと、決してそんなことはありません。
そのあたりからも、一時的な為替の水準がそのまま国力を表すものではないことがお分かりいただけると思います。