急ブレーキは緩めるけど止めないよ
元来、去年利上げに否定的な時期からパウエルは「利上げ効果は1年以上遅れてやってくる」と主張していた。いわゆるマネタリーラグと言われるものだ。
実際に利上げに踏みきった今もまだまだ利上げが実際のインフレを抑えてはいないし、利上げ開始からまだまだ一年以上経っていない。今ここで手を緩めればインフレ退治はできないと考えていることをマーケットに改めて示した言える。
機関投資家がベンチマークにするS&P500も戻りは3892まで戻した後、90分余りでストーンと2%下げておりなかなかスピードの早い、強烈な下げに見舞われたと言える。
後でも書くけど、GAFAMやテスラの下げが指数よりもきつめ。昨年まで明確に指数を上回って市場を牽引してきたビッグテックやテスラに晩秋の風が吹いている。
なお、今のようにFFレートを事実上の政策金利として使用するようになって以来、4回連続の0.75%利上げは初めてだそうな。言われてみるとそうだよね。昔は0.5%当たり前だったし、近年は0.25%利上げでできるだけショックを与えないようにするのが当然とされてきたから。
要するに「スピードが出過ぎたために今まではガツンとブレーキを踏んできた」
ただこれだと今度は速度が落ちすぎるんでブレーキの踏み具合は緩めますよ。 でもじゃあブレーキから足を離すかっていうとまだまだそういう時期じゃないよと。市場の「政策ピボット(転換)」の期待は脆くも崩れ去った。
当初「引き締め効果が現れるまでタイムラグがある」という一文をみてマーケットは強気に出た。
利上げってすごく強力な手段だけど「即効性は少ない」。
だから、その効果・遅効性を見込んで利上げはすでに終盤に入っていると市場は理解したというわけ。
しかし・・・。
グロース株には逆風が強く吹く
さらに利上をある程度続けないと、物価をさます効果は大きく減る。これがパウエルの今の考えだった。利上げ効果が十分に発揮されるためには初動での思い切った利上げと、いったんある程度利上げした以降は利上げスピードを緩めるべきだが、パタっと止めてしまうとその効果が発揮されない、そういうふうに考えていることを内外に示したと言える。
結果的に「景気減速や後退をできるだけ避けたいとは思ってる」「しかしながら十分な物価下落を招くために、景気減速回避のための利上げ打ち切りはしない」とうことだね。
種々の事情を考えると結論として「景気減速や後退を完全に避けるのはかなり難しい」ことを再認識させたと思われる。金利上昇局面が続くことは、成長のためにも資金調達が必要とされ。なおかつインカムのすくない発展途上のグロース株にはより逆風が強くなったと言えるだろう。