大企業の解雇計画発表を織り込んでいる可能性も
それでは、先に発表されている雇用指標の数字を見ながら、今日の展望や戦略を考えていきましょう。
全体的に数字は弱めと言えるでしょう。今回はドル円がかなり下落していることを踏まえると、雇用統計も弱めの結果を織り込んでいるかもしれません。
最近は大企業における解雇整理が進んでおり、アマゾンやメタ(旧フェイスブック)、グーグルなど、いわゆるビックテックでも解雇計画が発表されています。イーロンマスクが買収したツイッターでも、半数を超える従業員が解雇されたのは記憶に新しいところです。
一方、米労働省が11月30日に発表した10月のJOLTS(雇用動態調査)を見ると、解雇者・離職者の合計は139万人と9月分の133万人からやや増えたものの、未だに極めて低い水準となっています。
この背景として、コロナ下におけるビジネスの需要増から、大企業を中心に労働者が不足しないように大量の採用を続けたことが指摘されています。
つまり、コロナ需要が一服し、大企業を中心に過剰人員が解雇されて労働市場に流れ込んではいるものの、中小では依然として人手不足が続いており、採用も続いていると考えられるということです。このことを踏まえると、引き続き堅調な数字が並ぶことも十分想定されるでしょう。
トレード戦略の基本は「ロング(買い)」で
流石にドル円はオーバーシュート気味であり、135.00円に近い水準でショートするのは得策ではないでしょう。マイナススワップも大きく、ポジションを抱えているだけで損失が発生してしまいますからね。
初動は非農業部門雇用者数のヘッドラインで動いていくことになりますが、本来であればマイナスにでも落ち込まない限りは労働市場の減速と評価するのも難しいですから、+10万人以上の数字になるようであれば、そこまで下げない可能性も十分あります。
また、注目の平均時給(賃金上昇率)も予想値は前月比+0.3%・前年比+4.6%となっています。予想を下回って前月と比べて賃金の伸びがない、前月比+0.0〜0.1%の数字となった場合は賃金インフレ後退といった見方になりますが、+0.2%以上の伸びを示すのであれば、まだまだ賃金もしつこく上昇しているといった話になりそうです。
したがって、ドル円のトレード戦略としては、予想並かそれ以上の数字を想定してロング(買い)で勝負してみたいところです。予想並かそれ以上であれば、オーバーシュート気味に下落していますから、それなりに買い戻しが期待できるでしょう。