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まもなくロシア軍が全面攻勢か。日本で報道されぬウクライナ戦争“12月10日〜19日”の転換点=高島康司

信頼できる軍事アナリスト

このようなとき、ウクライナ戦争の今後の展開は気になるところである。

日本を始めとした欧米メディアでは、ウクライナ軍は優勢に戦いを進めており、ロシア軍の敗退はもはや時間の問題となっているとの報道が多い。しかしながら、このメルマガの記事で何度も指摘したように、日本では報道されないウクライナ軍の損害を見ると、ウクライナが勝っているとは到底いえない状況だ。死傷者数でも破壊された兵器の数でも、ウクライナ軍の損害はロシア軍のそれよりも2.5倍ほど多い。

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ウクライナ軍の消耗は大きく、ロシアを敗退させるだけの力はない。ロシア軍の被害だけを一方的に伝える報道だけでは、実際の戦況は見えてこない。そのような報道では、ウクライナが勝っているようなイメージが作られてしまう。

そうした状況でやはりもっとも頼りになるのは、信頼できる軍事アナリストの情報と分析だ。以前の記事でも一部紹介して人もいるが、改めて紹介する。

<ジャック・ボー>

元スイス参謀本部の大佐。NATOに出向し、2012年からウクライナ軍の強化と訓練を担当。ウクライナ軍の内部情勢に精通している。

<スコット・リッター>

元ロシア駐在の米軍武官。国連の主席核査察官として、イラクの核武装を監視。2003年のイラク戦争では、サダム・フセインは大量破壊兵器を保有していないことを力説し、ブッシュ政権を批判。

<ダグラス・マクレガー>

米陸軍元大佐。第一次湾岸戦争で部隊を指揮し、1999年のコソボ紛争ではウエズリー・クラークNATO欧州連合軍最高司令官の副官として、セルビア空爆を指揮。トランプ政権では国防長官の上級顧問となる。ロシアとドイツの国際関係で博士号を取得しているので、駐ドイツ大使候補でもあった。

<ダニエル・デイビス>

米陸軍元中佐。1990年の湾岸戦争ではマクレガー大佐の部下として作繊に参加。その後、アフガニスタンやイラクなど、アメリカがかかわるった数々の戦争に参加。

このような実戦経験のある軍事専門家は、日本には存在しない。彼らは軍人のネットワークを生かして情報収集し、ウクライナの戦況の実態を報告している。

これらの人々の中でも突出しているのは、ジャック・ボーとダグラス・マクレガーである。ジャック・ボーに関しては、以前の記事で何度か詳しく書いたので詳述しない。今回はダグラス・マクレガーについて書いておきたい。

ダグラス・マクレガーは湾岸戦争で、米兵の死傷者をまったく出すことなく、イラク軍の戦車70両を撃破し、コソボ紛争ではセルビア空爆の立案者だった。そうした数々の輝かしい戦功にもかかわらず、マクレガーは将軍になることができなかった。それというのもマクレガーは、陸軍きっての戦術家として、陸軍の改革を激しく主張したので、軍上層部に嫌われたからだ。

反骨の軍人として有名で、トランプ政権ではジョン・ボルトンが辞任した後、安全保障担当の補佐官候補の1人だった。駐ドイツ大使候補でもあったが、上院で却下されたため、議会の承認が必要ない国防長官の上級顧問に就任した。トランプ政権が終わる2021年1月までその職にあった。

マクレガーはいまでもドイツ、フランス、スペインなどのNATO諸国の司令官クラスと緊密に連絡を取り合っており、情報収集をしている。

マクレガーの戦況分析

このようなマクレガーだが、ウクライナ戦争が始まった2月24日から、保守派のメディアである「FOXニュース」を始め、ケーブルテレビ、地上波、ネットメディアなどに頻繁に登場し、信頼性の高い戦況分析を提供している。

特に、ウクライナ軍がハリキュウ州の全面的な奪還に成功してからは、露出度がぐっと増えている。引っ張りだこの状態だ。現在、ウクライナの戦況のもっとも信頼できる分析者として見られている。我々も、ウクライナ情勢の今後を知るためには、マクレガーの分析を知っておくことは重要だ。

次頁に項目ごとにまとめた。ユーチューブにアップされている複数のインタビューの内容をまとめた。

Next: 12月10日から19日頃にロシアが攻勢?陸軍元大佐マクレガーが語る戦況

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