fbpx

実質利上げに踏み切った日銀の本音とは?物価抑制ほか3つのメリットを打ち消す大きな代償、財政ファイナンスの果てに何が起こるのか=栫井駿介

これからどうなる?

E5AE9FE8B3AAE588A9E4B88AE38192-E697A5E98A80E381AEE3839BE383B3E3838D_page-0007.jpg

じゃあこれからどうなるのか?

日銀はできれば金利を上げたくない。
しかしこのままだと、国債の保有額が膨大に増えてしまう。

ゆえにやむを得ず、変動幅の拡大ということで金利を実質引き上げた。
これは起きざるを得なかった。

というのも初めて海外に市場金利上昇圧力がかかったから。
海外の政策金利の上昇あるいは下落の如何が鍵を握る。

海外で金利を引き上げているのは、物価が上がりすぎたから。
それを歯止めをかけるために金利を上げています。

しかし物価自体はもうピークアウトをしたと見られる。
金利の上昇も一段落するのではないか?

また海外の経済状況がかなり悪化しているようで、日本はなんと成長率1.6%ながら、来年の経済成長見通しがG7で一番高い。
とにかくそれほど海外の景気が悪い。

従って景気が悪いということは、利下げ圧力がかかる可能性が高い。

それにも関わらず、日本は長期的に渡って金利を上げづらい状況にある。
よってよほどのことがない限り、大きく金利が上がることはないと踏んでいます。

ただし唯一リスクとして上げるならば、市場からの金利上昇圧力。
今のように市場金利が上がると、日銀も金利を上げざるを得ない。

これはどういう時に起こるかというと、例えば日本の財政の信頼がものすごく下がって、海外から国債を売り浴びせられたり、海外の物価がもっと上がって金利上昇が続いた場合など。

このリスクはゼロではないし、もし起きたらものすごく金利が上がる。

それは日本という国が、かなり経済的に危機を迎える時。
ただ可能性は現時点必ずしも高くない。

そういう意味でのテールリスクだと考えています。

財政ファイナンス

E5AE9FE8B3AAE588A9E4B88AE38192-E697A5E98A80E381AEE3839BE383B3E3838D_page-0008.jpg

中央銀行が通貨を発行して、国債を直接引き受けることが財政ファイナンスと定義されています。

日本は直接国から引き受けていないので、財政ファイナンスではないと言っています。
けれども1回銀行などがワンタッチして、その後日銀が買うことになっているので、何が違うんだという説明で、やはり難しい。

この矛盾というのも時間が経つごとに拡大していく。
ここについては、やはり注視する必要があります。

当面はこれ以上日銀は金利上げたくない。
実際に上げる必要性もそんなにない。

しかしテールリスクには注意すべき。
株式市場に関しては、今景気が悪化しているので、来年は厳しい環境が続くと思います。

ただ長期的に見れば、金利も下がって、やがて景気が回復して、株価も全体として伸びやすくなっていく環境が数年のうちに醸成されていくというのがメインシナリオであります。

(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)


つばめ投資顧問は、本格的に長期投資に取り組みたいあなたに役立つ情報を発信しています。まずは無料メールマガジンにご登録ください。またYouTubeでも企業分析ほか有益な情報を配信中です。ご興味をお持ちの方はぜひチャンネル登録して動画をご視聴ください。

※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取り扱いには十分留意してください。

【関連】夢に終わる韓国「半導体超強大国」戦略。日本から盗めなかったシステム半導体に“世界シェア3%”の壁=勝又壽良

【関連】楽天、モバイル事業を辞めれば株価3倍も?年間4000億円の赤字垂れ流し、株主が期待するのは早期撤退だけ=栫井駿介

【関連】バフェットに憧れた孫正義さん、ど素人投資で3.2兆円大赤字へ。天才と凡人の投資姿勢に5つの差=栫井駿介

image by: Saranya Phu akat / Shutterstock.com
1 2 3

バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2022年12月23日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問

[無料 ほぼ 平日刊]
【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー