岸田首相が4日の年頭会見で発表した重点政策のひとつ「異次元の少子化対策」に対して、SNS上などでは早くも訝しむ見方が噴出している状況のようだ。
少子化対策のための3つの基本的な方向性として、児童手当など経済的支援の強化、学童保育や病児保育など「子育てサービスの強化」、育児休業制度をはじめとする「働き方改革の推進」を挙げた岸田首相。
報道によれば、今年4月に発足するこども家庭庁のもと、今の社会において必要とされる子ども政策を体系的に取りまとめたうえ、6月の骨太方針までに将来的な子ども予算倍増に向けた大枠を提示すると語ったが、具体的な内容や必要となる財源については触れなかったという。
国民からあがる「普通の少子化対策を」との声
年頭会見では「若い世代から『ようやく政府が本気になった』と、思って頂ける構造を実現すべく、大胆に検討を進めてもらいます」ともぶち上げたという岸田首相。
国にとっては労働人口の低下にくわえ、税収の減少にも繋がるということで、由々しき事態であることは間違いない少子化問題。にもかかわらず、これまでの政権は例えば「恋愛弱者への“壁ドン教育”の提言」に代表されるように、果たして本当に少子化問題を解決する気があるのかと思うような動きばかりだったのだが、今回の「ようやく政府が本気に…」発言を見るに、そのあたりの“自覚”は岸田首相にも大いにあったようだ。
そんな岸田首相といえば、肝いりの少子化対策として昨年12月に公表されたのが出産一時金の大幅な増額。
首相自身「引き上げ幅は過去最高だ」と大いにドヤっていたこの施策だが、とはいえ実際には、都市部を中心に出産費用が年々上昇していくなかで、2009年から変わらぬままだったという一時金の金額を、実情に合うラインにまで引き上げたに過ぎないというのが正直なところ。
それだけに、今回の“異次元”という大げさな表現を伴う少子化対策に対しても、SNS上からは「虚飾」だといった声があがるばかりで、さらに「異次元でなくていいから、普通の少子化対策をして欲しい」といったツッコミが多数寄せられるなど、その内容にはほとんど期待感は持たれていないといった状況。
ちなみに“異次元”というワードに関しては、アベノミクスが叫ばれた2013年からデフレ脱却を目指して続けられた大規模な金融緩和策、いわゆる「異次元緩和」が、昨年末の金融政策決定会合で修正するという方針が決定されたばかり。そういったケチが付いたばかりのワードを使ってしまう岸田首相のセンスにも、呆れるといった声があがるなど、話が具体化する前からその評価は散々といったところのようだ。
岸田首相がマスコミ集めて「異次元の少子化対策を行う」「大胆な検討を進める」とアピール。安倍以降の総理は虚飾を並べて恥じないようになった。すなわち「前例のない…」「積極果断な…」「いまだかつてない…」「躊躇ない…」などと。聞いてるこちらが恥ずかしい。
— さよなら昨日の私 (@SaYoNaRaKiNo) January 4, 2023
異次元の少子化対策じゃなくて
普通の少子化対策をして欲しい
#所得制限撤廃
#所得制限なし
#子育て支援
#単身赴任手当を非課税に— うさ (@pinopino_8880) January 4, 2023
岸田首相が「異次元の少子化対策」などと言い出しました。10年前から始まった「異次元の金融緩和」が多くの弊害をもたらし、日銀も修正を発表せざるをえなくなった直後でこの言葉を使う感覚に呆れました。
具体策も何もありません。
自公政権が続く限り、日本の少子化も賃下げも止まりません。 pic.twitter.com/jYvJ4aTA3i— 大野たかし (@koredeiinoka) January 4, 2023
小池都知事の少子化対策にはバラマキ批判も
いっぽう、今回の「異次元の少子化対策」に関してだが、その財源を確保するために消費税が増税されるのは不可避、といった声が専らのようだ。
『首相は少子化問題を巡り「異次元の対策に挑戦する」とも明らかにした。…6月ごろに経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)を決定するまでに、子ども予算の倍増に向けた大枠を提示すると述べた』
もはや「6月までに異次元の消費税15%を提示する」としか聞こえないなぁ https://t.co/OUBpeD2EiP
— リフレ女子 (@antitaxhike) January 4, 2023
国民は三次元に生きてんのに異次元ってことは、金融緩和の時みたいに一部の人達だけが恩恵を受ける少子化対策になり、抜本的改革には至らない予告のようにも感じる。それに防衛費倍増で増税しようって政府が少子化対策の財源に消費税を当てにしているのではないか?という、不安もよぎる。
— きみ仮想きみ (@kimixasleep) January 5, 2023
岸田氏の「異次元の少子化対策」は、異次元の増税(消費税増税?)とセット。
国民負担増が相次いだ平成年間で実証されたが、景気を冷やし、経済的に結婚できる人を減らすなら、かえって少子化を加速する。
財源は、国民民主党の言う「子ども国債」でよい。児童手当、恒久財源を検討 松野官房長官 https://t.co/3QSlAj6alk
— kiwi (@KeeweeSan) January 5, 2023
実際、“異次元”と呼べるほどの少子化対策となれば、児童手当のさらなる拡充も大いに検討されるところだが、そうなれば少なくとも3~4兆円規模の財源が必要となるという見方もあり、そうなれば現実的には消費増税、あるいはそれに見合う規模の新税創設が不可欠に。
さらにいえば、ひとたび俎上に挙げれば猛反発は必至の消費増税も、少子化対策の財源を建前にすれば、国民にも受け入れられやすいだろう……といった政権側の思惑も、見え隠れするというのだ。
このような話は、東京都の小池都知事が岸田首相に先んじる格好で表明した少子化対策“18歳までの子どもに月5,000円程度の給付検討”の件でも、大いに取沙汰されている状況。
具体的には、来年に迫る都知事選での再選を睨んでのバラマキではといった見方、さらには小池都知事が何故か強硬に話を進めるも、「中国企業が儲かるだけ」などと批判が殺到している“新築住宅への太陽光パネル義務化”問題の目眩ましでは……といった憶測まであがっているところだ。
この施策で子供が増えるわけがない。少子化対策では無く都議選対策のためのばら撒きだ
東京都が18歳以下に月5000円給付へ 所得制限なしで調整 小池氏 https://t.co/5kovGwiV9H
— 桃次郎 (@momoaisu1) January 4, 2023
少子化施策は大事だが、やり方がマズいんですよ
これではバラ撒きにしか見えず、コラ○や太陽光パネルの目眩ましにしか思えんのだよ… https://t.co/YJ5MFLJNag— ジリジリ (@jirijiri1121) January 5, 2023
奇しくも岸田首相と小池都知事がほぼ同タイミングで表明した少子化問題への取り組みだが、こういったいわば子どもをダシにした耳ざわりのいいような話には、何か裏の思惑があるに違いない……というのが、国民や都民が共通して思うところのようである。
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