原発再稼働は絶対に必要
海外からの化石燃料の輸入に過度に頼った今の日本の発電体制では、LNG等の価格が上昇すれば電力料金も上げざるをえないこととなる。
独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の試算によると、2025年までにLNG需要と供給能力の差は拡大し、LNG供給余力が減少、世界的なLNG争奪戦が起こると予想されている。
再生可能エネルギーを拡大すればよいという意見があるが、現在の電気料金は基本料金に電力量料金、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)が加算されて決められており、再生可能エネルギーを増やせば増やすほど電力料金の上昇圧力となる。
また再生可能エネルギーにはバックアップ電源が必要であるという意見がまだ支配的であり、そのバックアップ電源は化石燃料による火力発電が中心であるということになれば、再エネ拡大によって火力発電を大きくリプレイスできるということにもならないだろう。
そうすると当然であるが、原子力発電(原発)をどうしていくかという議論となる。
日本の場合は3.11という特殊な事情によって、それ以前の原子力の電源シェアが30%弱であったものが、2021年には6%程度まで低下している。
同じく2021年の太陽光、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーのシェアは15%程度である。
再生可能エネルギーを拡大してきたとはいえ、このまま再生可能エネルギーのシェアが増えれば再エネ賦課金が増大し、電気料金を安定的に安い水準で提供することは難しくなる(中長期的には再エネの発電コストが大きく下げるということは否定まではできないが)。
電力を安定的に安く提供する、安い電力による日本の産業競争力を保つという観点からは、原発の再稼働は避けて通れぬ道ではないだろうか。
岸田総理は、昨年原発の再稼働及び次世代型原発への建て替え方針を発表したが、世論の反発を招きかねない原発の再稼働という政策決定を行ったことは評価できる。
東電のガバナンス不在
原発再稼働に際しては、東電も襟を正すことが必要だとは考える。
東電は一貫して原発再稼働の必要性を主張しているが、福島第一原発の廃炉のためには8兆円の資金が必要であり、その資金は利益から拠出しなければならず、柏崎刈羽原発を動かさないと、そもそも利益が出ないという論理を展開している。
しかし残念ながら原発再稼働の前提として東電自体の体質も変わらなければいけないのだが、東電のガバナンスには依然問題があるように感じる。