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ジム・ロジャーズ「若者は日本から出て違う言語を学べ」の真意とは?“捨てられる日本”に助言する年齢別の生存戦略=花輪陽子

「自分が詳しい分野に投資をするべき」

豊かな先進国で生きる私たちは、実はもうこれ以上、物を買う必要はありません。生活を豊かにする経験・読書・健康づくりなど将来への投資に支出を絞り込んで、浮いたお金で資産防衛をするべきです。

ロジャーズ氏は自分が詳しい分野に投資をするべきだと常に述べています。また、彼はまだ米ドル、金や銀、日本株などを保有しています。非常に長期のスパンでホールドしており、意見もまったくブレません。

インフレは短期的に株式投資の成長を阻害します。しかし、5年・10年後、インフレに打ち勝つことができれば大きく跳ねるチャンスもあるために、粘り強く長期的に投資をすることが重要です。

おすすめの経済本 野口悠紀雄著『2040年の日本』

ジム・ロジャーズ著『捨てられる日本』 とともに読んで考えていただきたい本に野口悠紀雄著『2040年の日本』(幻冬舎新書)があります。

ジム・ロジャーズ氏の本は歴史の流れから大きな方向性を捉えるのに非常に役に立ち、野口悠紀雄先生の本はより具体的な数字に落とし込んでくれています。

この2冊を合わせて読むと、世界がこれからどうなるのか、日本の置かれた立場、自分がどのように行動すればよいのかがハッキリと分かるようになります。

20年後、いまと同じ社会が続いていると無意識に考えていないか。政府の資料では2040年、国民の年金や医療費などの社会保障負担率は驚くべき数字になる。現在と同じような医療や年金を受けられると思ったら大間違いだ。事態改善の鍵を握る、医療や介護におけるテクノロジーの進歩は、どこまで期待できるのか。60年にわたって日本を観測してきた著者が、日本経済や国力、メタバースやエネルギー問題、EVや核融合・量子コンピュータなど幅広い分野について言及。未来を正しく理解し、変化に備えられるかどうかで、人生の後半は決まる!

出典:野口悠紀雄著『2040年の日本』アマゾンの書籍ページより

先程、政府は真実を語らないと述べましたが、年金や社会保障についても同じことが言えます。野口先生は「政府の将来の公的年金の財政見通し(財政検証)」は将来の試算が楽観的であり、長期的なシミュレーションでは1%成長率が変わるだけでも大きなズレが生じると述べています。

日本では人口が急激に減少をする予定で、2050年には9,515万人(高齢化率39.6%)に、2100年には4,771万人(中位推計)程度になるともいう推測もあります。
※参考:我が国における総人口の長期的推移(pdfファイル) – 総務省

GDPの成長率に寄与する要素はざっくりと労働投入×資本投入×TFP(Total Factor Productivity 全要素生産性)だと言われています。

何もしないままでは労働力が減り、資本投入も増えないシミュレーションでは生産性の向上にすべてがかかっているということなのです。

日本ではデジタル化などが他の先進諸国と比べると遅れているために改善の要素は多いものの楽観視することはできません。

女性や高齢者活用、移民の受け入れ等で労働者不足を補ったとしても1%成長を続けることも非常に困難な状況だと野口先生は書籍の中で述べています。

成長ができないとどうなるのか。成長ができないと、社会保障給付を払うことができなくなるということです。財政検証では賃金上昇率を楽観的に見積もって計算をしている傾向があります。

1%のずれは20年後、40年後に非常に大きな数字の差になります。将来推計を楽観的にシュミレーションしている政府は無責任だと感じます。

また、世界経済が3%前後成長し、日本の成長率が1%の場合、20年で40%の差となります。新興国との差はなくなり、米国や中国との差は開く一方です。

現在ですら米国に旅行ができるのは一部の富裕層になってしまいました。20年後に更に4割増しになれば、人生で一度も米国に行けない日本人が大半となるのではないでしょうか。

ジム・ロジャーズ氏が日本経済のことを述べる際に毎回口にする「借金は月にも届きそうで、人口は減り続ける」という言葉を数字で改めて確認すると絶望的になってしまうのです。

政府はようやく躍起になって異次元の子育て支援をしようとしています。しかし、これから生まれる赤ちゃんが生産労働人口に加わるのは2040年よりもずっと後です。2040年までの将来推計には影響を与えません。それまではコストになってしまうので、これまで無策で先送りをされ続けてきたのです。

Next: 国にまったく頼れない時代、ジム・ロジャーズ氏の生存戦略は?

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