では、どうすれば少子化が止められるのか
価値観の変化(たとえば女性の社会進出が進み結婚しなくても自立できるとか、多様な生き方が受容されるようになってきたとか、家庭を築くより自分の生活が最重要という人が増えたとか)はどうすることもできません。
そもそも結婚したくない人はいますし、いまはそれが増えている印象ですから、単発・小出しの政策では少子化は止まらない。なので広範な政策パッケージが必要でしょう。
少子化の大きな要因としては、未婚の増加が挙げられます。そもそも結婚すれば誰に言われなくてもほとんどの家庭で1人、もしくは2人の子を持つからです。これは政府や他人が何を言っても言わなくても普通に起こることです。だからまずは結婚するカップルを増やす必要がある。
では、何が考えられるか。リスキリングに予算を出すのと同様、婚活・結婚にも予算をつけるとか。たとえば、次のような案が浮かびます。
<婚活奨励金>
職業訓練給付金のように、指定婚活機関で婚活すれば費用の一部を補助、成婚すれば全額補助。
<無料お見合い会の開催>
自治体主催のお見合いイベントに補助金をつけ、希望者は他地域からも無料で参加できる。
<結婚祝い金>
婚姻時に200万円支給(1年以内に離婚すれば全額返済)。
<家電バウチャー券>
居住地の家電店で30万円分購入できるクーポン券の支給。
<家賃補助>
結婚した賃貸住まいのカップルに月額5万円の家賃を2年間補助。
<所得税減税>
双方の所得税を婚姻から2年間減税。
上記ほか、マスコミも「こういう家庭の形もあるよー」などとポジティブな報道や多様性ある情報を増やせば結婚に対する価値観も変わっていくような気もするのですが。
すると「個人の生き方の自由に反する」「押し付け」などという声も出るのですが、治安や利便性が世界トップクラスのこの環境を守りたいと私は考えています。
収入が低いからこそ結婚を
それで結婚しない理由でよくある「収入が低いから結婚できない」「安定した職業に就いていなければ結婚は難しい」というのがありますが、私はむしろ逆で、「収入が低いとか安定していないからこそ結婚したほうがいい」と考えています(むろん結婚したくない人向けではなく、結婚したいけど収入が低いので躊躇しているという人向けです)。
男性が家族を扶養しなければならない、大黒柱として家族を支えなければならないという固定観念が「結婚できない」につながっているわけですが、それはもう時代遅れでしょう。
「そうはいっても現実にはお金が必要だ」という意見もその通りですが、結婚そのものにはお金はかからず、婚姻届けを出すだけ。披露宴を挙げる義務も新婚旅行に行く義務もないですから。
そして収入が低いならなおさら夫婦で協力してがんばればいいだけのこと。片方が手取り月収15万円でも、共働きで配偶者も15万円なら世帯で30万円の家庭です。非正規で不安定でも、もう片方も働いていればフォローし合えるはずです。家事も同様に協力すればできる。
そう、結婚生活とは「依存」ではなく「協力」です。
女性側にしても、結婚とはそもそも「相手を大切にしたい」「同じ人生を一緒に歩みたい」などといった「与える」「寄りそう」感情がベースだと思います。
一方、「この人は私を幸せにしてくれるか」「この人のお金で私をラクさせてくれるか」という受動的な姿勢では、婚姻の継続はなかなか難しい気がします。
そして2人が一緒になればいろんなコストを共有できます。スマホも家族割ができますし、家賃も双方が1人暮らしなら一緒に暮らせば家賃が浮き、水道光熱費も基本料金分は安くなる。
1人なら作るのも面倒だから外食しようとなりやすいけれども、2人なら材料を買って家で作って一緒に食べようという動機にもなる。すると食費負担も軽減される。あるいは風邪などで寝込んでも、配偶者がいろいろケアやサポートしてくれるので助かるという側面もあります。
私の個人的な感想ですが、結婚すれば異性とメールしたりデートしたりする必要もなくなって仕事に専念できます。これは結構大きいです。
それに良いか悪いかは別として、異性の目をそんなに意識しなくてよいので、ファッションやら見栄にお金を使うことも減ります(これは男性だけかもしれませんが)。