次の3月11日で東日本大震災から12年の月日が経過したことになりますが、福島第一原発の廃炉作業は未だに完了していません。そんななか、岸田政権は電力不足を言い訳にして、本来は40年稼働、最大で60年のはずだった原発を大した議論もないままに、しかも経年変化・劣化に対する詳細の実証性すら確認されないまま、60年以上も利用することを簡単に決めてしまっています。(『 今市的視点 IMAICHI POV 今市的視点 IMAICHI POV 』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市的視点 IMAICHI POV』2023年2月18日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
東日本大震災から12年、福島第一原発は…
今年の3月11日で、東日本を突然に襲った大震災とその後の大津波から、12年の歳月が経過しようとしています。
この地震に被災された方はいま様々な思いをもって12年目のこの日を迎えることになるのでしょうが、完全に崩壊した福島第一原発の今の状況を見るにつけ、ひとたび災害に見舞われればそれが天災であれ人災によるものであれ戦禍にまみれて破壊されることになったとしても、原発は手のほどこしようがなくなり、何年かけてもまともに復旧するということはまったくないことを今も我々は目のあたりにしています。
自然災害のこれだけ多い日本に原発が多数建設され、しかもウクライナのケースを見ていると戦時下では作為的に攻撃の対象とされる危険な施設であることをどう理解して対応していくのか。
これは極めてクリティカルな問題のはずなのですが、岸田政権は電力不足を言い訳にして、本来は40年稼働、最大で60年のはずだった原発を大した議論もないままに、しかも経年変化・劣化に対する詳細の実証性すら確認されないまま60年以上も利用することを簡単に決めてしまっています。
ロクに議論もしないまま再稼働を決めて大丈夫か?
確かに電力需要がひっ迫するというのは、季節と場合によっては国民の命に関わる問題であることは間違いありません。
しかし、だからといって老朽化して本来耐用年数がしっかり設定されていたはずの原発を存在するものはとにかく利用するとばかり超長期に稼働させていくなどというのは、言語道断の選択にほかなりません。
なぜこんなに重要の事案を国会でもロクな議論をしないままさっさと決めてしまうのか。まったく理解することができない状況です。
岸田首相は原発の60年超運転に向けた制度の見直しをめぐり、「国民への丁寧な説明を尽くす」などとまた同じ嘘をついています。
最近では防衛予算の拡大化を含めて、国民が納得いくような説明を行うことはまったくしておらず、独断・逃げきりの政治が延々と続くことになっています。
ある評論家がこの人物を「新しいタイプのファシスト」であると断じていましたが、まさに言いえて妙で、岸田首相はこれまでこの国が守ってきた規律をどんどん切り崩そうとしていることが伺われます。