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遠のく同性婚・LGBT差別禁止の法制化…岸田首相「社会が変わってしまう」発言の罪深さ。G7で唯一の多様性不寛容の国ニッポン=原彰宏

G7で唯一の多様性不寛容の国「日本」

現在、同性婚および登録パートナーシップなど同性カップルの権利を保障する制度を持つ国・地域は世界中の約20%の国・地域に及んでいます。(2022年10月時点)
※参考:世界の同性婚 – EMA日本

イタリアは、同性カップルに結婚に準じた権利を認めていて、完全に同性婚が認められていないのは、G7で唯一日本だけです。

夫婦別姓を認められないのも、G7では日本だけなのです。

今世界で社会の多様性を認める動きとなっている中で、同性婚も夫婦別姓も認めていない日本を議長国とした先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)が、5月に開かれるのです。

東京新聞にこのような記事があります。

※参考:LGBTQ権利保護の「失われた20年」を生んだ「伝統的な家族観」 OECD調査でワースト2位に転落 – 東京新聞(2023年2月16日配信)

記事冒頭には「LGBTQの人権保障に関する経済協力開発機構(OECD)の直近(2019年)の調査で、日本の法整備の進捗状況は35カ国中34位の評価。1999年時点では22位だったが、具体的な取り組みが乏しかったため、他国に追い抜かれた。「失われた20年」ともいえる状況を生んだ要因として、有識者は「伝統的な家族観」を重視する自民党の影響を挙げる」とあります。

事実・証拠は東京新聞記事にありますが、本当に日本は、多様性に不寛容な国になってしまいましたね。

もともとそうだったのか、戦前の社会に回帰したい勢力が、いまの日本の政権を取っているということなのでしょう…。

憲法改正の本命は「第24条」

2月8日のロイター通信記事で、松野博一官房長官が憲法24条について触れているものがあります。
※参考:同性婚、憲法24条が禁止しているか特定の立場にない=官房長官 – ロイター(2023年2月8日配信)

「憲法24条が同性婚の導入を禁止しているのか、許容しているのかについて、特定の立場に立っているわけではない」こう述べています。記事にもあるように、憲法24条1項は「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と規定しています。

この条文と同性婚の関係について、松野官房長官は「同性婚制度を導入することは、想定されていないものと承知している」と説明したとあります。

この発言は、2015年2月18日の衆議院議員本会議で安倍晋三元総理の「現行憲法の下では、同性カップルの婚姻の成立を認めることは想定されていない」と発言し、同年4月1日にも参議院予算委員会において同様の発言を引き継いだものになります。

一方で政府は、「同性婚制度を憲法が禁止している」という立場を明確にはしていません。「(同性婚は)わが国では憲法上想定されていない」という曖昧な回答を繰り返すにとどまっているため、この同性婚制度の論議は、微妙な空気感で続いているのです。

この憲法第24条は、戦前の家父長制度による、結婚するには家長(父親か長男)の許可がいるとした社会風潮を改める意味があるとされています。

「両性の合意」とは「両当事者の合意」と読むことができるという解釈もあり、それが同性婚を認めることにもつながるという主張もあります。

2021年3月17日に札幌地方裁判所は、「国が、同性愛者に対して、結婚により生ずる法的効果の一部ですら認めないことは憲法違反である」と判示しました。

「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と定めた憲法第14条第1項の平等原則に反するという判決です。

また、幸福追求権を定めた憲法13条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」とあります。

時代背景に合わせた条文、憲法改正推進派が「日本国憲法は時代にあっていない」と主張するなら、この部分の解釈も柔軟でいてほしいものです。

その憲法改正推進の本心は、宗教右派の要請により、この憲法24条を、どう解釈しても同性婚を認めるものではないように書き換えたいのではないでしょうかね。

一般社団法人LGBT理解推進会」という団体があります。

自民党の「LGBT差別解消」ではなく「LGBT理解増進」という考え方を、後押しするかのような言葉が並べられています。一見するとLGBTに理解がありそうな穏健団体のようにも見えますが、強硬な反差別運動を牽制するかのような立ち位置になっている気がします。

西田昌司氏の発言に似た部分も散見されます。
※参考:LGBT理解増進法とは – 一般社団法人LGBT理解推進会

私たちはしっかりと、両方の目で、真実を見極めていきましょう。

Next: 何より大切なのは人権。「差別」を中心に置いて判断を

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