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廃業発表の西陣、パチンコ市場の縮小に半導体不足も影響か。いっぽうでSANKYOやセガサミーは増収増益と業界内で分かれる明暗

今月1日に公表されたパチンコメーカー「西陣」の“廃業”報道に、パチンコファンの間で波紋が広がっているようだ。

同社の公式サイトに掲載された文章によれば「ぎりぎりまで事業継続に向けて検討してきましたが、市場環境は今後さらに厳しくなる状況にあり、事業を終了し廃業するしかないと決断しました」とのこと。

また「株式会社西陣アーキテクト」「有限会社九州西陣販売」については、西陣からはすでに独立しており、これまで同様に事業を継続するとのことだ。

深刻なファン離れで減るいっぽうのパチンコ店

近年のパチンコ業界といえば、度重なる規制強化でギャンブル性が低下したことで、深刻なファン離れを引き起こしていたところに、新型コロナの感染拡大があり、一時はパチンコ店も休業を余儀なくされ、その再開後も客足が戻らなかったという施設も多い状況。

さらに、そこに2022年1月までの旧規則機撤去のタイミングが重なり、機種入れ替えの出費捻出が厳しい施設のなかには、閉店・廃業の道を選ぶところも多々あった模様。現に2022年のパチンコ店の累計閉鎖数は770店舗と、約600店舗が閉鎖された20年や21年の数を上回ったようだ。

ちなみに1995年には全国に1万8,000店舗あったパチンコ店だが、現在では7,000店舗割れが現実味を帯びるといったラインまで減ってしまった。このようにパチンコ店自体が減少の一途となれば、そこに台を供給しているパチンコメーカーも苦境に陥るというのは、至極当然の流れだろう。

いっぽう、今回廃業を表明した西陣だが、群馬県桐生市に縁のある平和やSANKYOと並んで「桐生御三家」とも呼ばれた老舗パチンコメーカー。

プリペイドカードに対応したCR機の黎明期である1993年に登場した「CR花満開」は、多くのファンに愛され、その後のCR機の普及にも大きく貢献したのだが、そのいっぽうで近年はメガヒットと呼ばれるような台の開発には至らず、そのことも今回の廃業に繋がったのでは……といった声も多くあがっているところ。

さらに、西陣に限らずパチンコメーカーにとって近年の悩みの種といえば、世界的な半導体不足。部材の供給が不安定となり、それにより部材価格の高騰も招いたことで、原価が大幅に上昇するとともに、販売台数を減らさざる得なくなるメーカーも続出したとのこと。

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これら数々の向かい風も大いに影響してか、西陣の売上高は近年のピークだった09年7月期の約300億円と比べ、2022年3月期には約145億円と半減していたようだ。

勝ち組・負け組がはっきり分かれるパチンコメーカー

パチンコメーカーといえば今回の西陣以外にも、先日には京楽産業も2022年6月期決算で、売上高268億3,800万円となり、前期比257億700万円の大幅減収で赤字転落となるなど、その苦境が伝えられていたところ。

ただ、そのいっぽうでSANKYOやセガサミーホールディングスに関しては、2月上旬に2023年3月期の業績予想を上方修正するなど、そろって大幅な増収増益となる見通しだということ。

さらに平和も、ゴルフ場の運営などパチンコ以外の事業が好調だったこともあり、その業績がコロナ禍前の状況に迫りつつあると報じられており、業界内での明暗がくっきりと分かれつつある状況のようだ。

ちなみにSANKYOやセガサミーといえば、数あるパチンコメーカーのなかでも売上高など上位を占めるメーカーだが、ここ最近ではSANKYOだとパチンコ「ゴジラ対エヴァンゲリオン ~G 細胞覚醒~」あたり、またセガサミーだとパチスロ「パチスロ甲鉄城のカバネリ」などが好調ということ。

作品によっては非常に高価な版権料がかかるともいう、アニメやゲームといったコンテンツのパチンコ・パチスロ化だが、そこに糸目を付けない体力を有する大手のメーカーが、今後も生き残っていく流れとなっているようだ。

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