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客足が戻りつつある空港…JAL・ANA株は買いか?どちらが有望?コロナ前後で変わった3つの判断材料=佐々木悠

今から航空株に投資するのはアリ?ナシ?

コロナ禍からの回復と、ダメージの様子を分析してみました。では以上を踏まえて、航空株投資に関する3つの疑問の答えを考えてみます。

<業績はコロナ前に戻るのか?>

両社の24年3月期の業績予想を確認してみましょう。

売上はほぼ回復する見込みですが、当期純利益は未だ回復しない見込みです。2018年3月期の水準に戻るためには、当期純利益は2倍近くまで伸ばす必要があります。

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出典:各社決算短信より作成

なぜ売上が回復しても、利益が伸びないのでしょうか?

最大の理由は支払利息の負担であると考えます。客足が戻り、売上や営業利益が回復したとしても、支払利息が重く、利益を圧迫しているのです。

アナリスト予想を参考にすると、2025年3月期のANAの営業利益予想は1,640億円です。これは過去最高益を達成した、2019年3月期の1,650億円とほぼ同じです。

しかし、当期純利益の25年3月期予想は981億円と、19年3月期の1,110億円には届きません。なお、JALの25年3月期予想は営業利益、当期純利益、共にコロナ前を下回る予想です。

つまり、コロナ禍の借入の増加により、数年に渡り当期純利益を圧迫する財務内容に変わってしまったのです。

<株価はコロナ前に戻るのか?>

「いやいや、株価はコロナ前水準に戻っていないからチャンスはあるだろう!」と考える方もいらっしゃると思います。

しかし、ANAであれば2019年末水準である4,500円、JALであれば4,000円に戻る可能性は低いと考えます。

理由は利益が出づらいことに加え、発行済株式総数が大きく変化しているためです。

ANAの発行済株式総数は2019年3月期で3億4,000万株でしたが、22年3月期では4億8,000株です。JALは3億5,000万株でしたが、22年3月期では4億3,000株まで増加しました。

本来は公募増資によって調達した資金を設備投資などに使うことで、新たにキャッシュを生み出せば良いのです。しかし両社はあくまで資金不足に対応するための資金調達です。

従って公募増資によって株が増えたにも関わらず、資金を設備投資などに新たなキャッシュ創出のために使用できるわけではないのです。

その結果、ANAの2019年3月期のEPSは235.5円でしたが、25年3月期アナリスト予想純利益に対するEPSを計算すると202.6円です。JALは345.1円が215.5円となる見込みです。

すなわち需要が回復したとしてもEPSは以前より低く、結果として株価は上がりづらいと考えています。

Next: 業績はコロナ前に戻るのか?JALとANA、どちらかを買いたいなら…

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