fbpx

淘汰される日本の平凡なサラリーマンたち。ジョブ型・成果主義・高額報酬制度・人工知能で労働環境は完全に変わる=鈴木傾城

ただの「平均的」なサラリーマンはどんどん貧しくなっていく

平均的であることのメリットは、「ほどほどに生きていける」ということだ。自分が嫌いなものでも取り組むことができて、耐えながら生きていくことができるようになる。

日本は昔から集団主義の国だが、集団主義の中では平均的であることが喜ばれる。なぜなら、人間がみんな平均的であると組織の歯車にするには好都合で、その人が壊れれば他の人でも取り替えが可能だったからである。

これまでの日本の企業は平均的な人間の集団を組み合わせることで成り立っていた。その人が壊れても、すぐに他の人で補完できるようになっている。日本の組織が強いのは、要するにそれだけ平均的な人間の補充が山ほどあったからだ。

これは日本人にとって、「今まで」は悪いことではなかった。日本の企業は終身雇用をモットーにしていたし、どこの企業も社員を家族のように扱っていたから、サラリーマンになって組織の一員であり続けるというのは、安心できる生き方だったのだ。

しかし、もうそれどころではない。

もうとっくの前に「労働力の排除」が発生している

世の中が完全にグローバル化した結果、「安価に労働力を提供する」という人間が途上国から無尽蔵に出てくるようになった。さらに業務の効率化も研究され、ハイテクによって雇用を排除するイノベーションが次々と生まれるようになった。

昨今は生成AIが一気に世界を席巻して、あらゆる分野が人工知能に置き換え可能なのではないかと言われるようになりつつある。実際、人工知能とロボットが人間の雇用を次々と奪っていくことになる。

新しいイノベーションを巡って企業間の競争も激しくなり、日本企業はますます社員を終身雇用で雇う体力がなくなる。その前に社員を終身雇用で囲い込むメリットも消える。

何しろ、安い価格でも悪条件でも構わずに働く人が、世界中でうじゃうじゃと見つかるようになって、そこに人工知能によるイノベーションまで重なるのだ。

もうとっくの前に「労働力の排除」が発生している。企業はなるべく人を使わないで稼ぐ方が利益が増えるので、常に「労働力の排除」が課題となる。

安い労働力を見つけるために、途上国の労働者を使うことは先進国の企業にとっては当たり前の動きとなった。次に国内の労働者を正規社員から非正規雇用者に入れ替える作業も行った。

実際、正社員はどんどん切られて非正規雇用に変えられており、給料も引き下げられている。そして、残った正社員をめちゃくちゃに働かせるとか、残業代を払わないとか、早期退職に追いやるような「使い捨て」まがいなことをしていくようになった。

もちろん雇用のミスマッチに挟まれ、働き手がいなくて四苦八苦する業界もある。しかし、すぐにどこかから賃金の安い外国人労働者を発見して、彼らを雇い入れるようになったのが日本の現状である。

そして、いよいよ「雇用を排除するイノベーション」である人工知能が社会を席巻するようになってきた。今後はますます労働者が要らなくなってしまう世界に急激に進んでいる。

Next: 生き残るために、外国人にも人工知能にも代替されない分野に移行せよ

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー