東京都によって低所得世帯に無料配布されたお米が、「転売禁止」と書かれているのにもかかわらず、フリマサイトに大量出品されていることが報じられ、大きな反響を呼んでいるようだ。
報道によれば、フリマサイトに出品されたお米は、3袋あわせて15kgのお米が4,000円弱で販売されているといい、その写真のほとんどが「転売禁止」の文字を隠すようにして出品されているとのこと。
この事態に、東京都は「転売の実態は事業の趣旨に鑑みて残念に思う」とするいっぽう、フリマサイトの運営会社は「転売禁止という取り決めは法律や条例で定められたものではない」という理由で、サイトからの当該商品の削除に応じなかったという。
都内各地のフードバンクにも大量のお米が
その数々の浅ましい行為が度々露見し、嫌悪の対象となっている転売ヤーだが、今度は生活困窮者に向けて無償で配られたお米まで、儲けのタネにしようとしているということで、その行動はもとより、その温床となっているフリマサイトに対しても批判が集まっているところ。
東京都の支給した低所得世帯への配布された米転売について
フリマサイトに削除依頼を出しても、法や条例で禁止されていないから対応出来ないとの事
とっとと法や条例で転売禁止を制定してしまえばいい
転売ヤーは干からびろ
— hiro (@keitai_hiro) September 27, 2023
メルカリってどこまで悪事に
加担してるんか!
売れりゃ盗品でも売らせる#メルカリの闇
東京都の無償配布米まで
平気で売らせてる、そもそも
転売ヤーが生まれたのもここ
メルカリだ。#メルカリは公序良俗に反する#盗品サイトのメルカリだから俺はメルカリ辞めた。
— 正しいものが正義なのだ (@DozanAizac) September 27, 2023
ただ今回の件に関しては、そもそもの東京都による“お米配布”政策に大きな問題があったのでは……といった意見も大いに取沙汰されているようだ。
「東京おこめクーポン事業」と銘打ち、物価高に苦しむ住民税非課税世帯にお米25㎏を配布するという事業が始まったのが、今年2月のこと。当初はその名の通りお米だけを配布する予定だったのが、各世帯の様々な生活状況を勘案するとして、飲料や野菜、パックご飯やうどん(乾麺)などを組み合わせた9コースから選択できるようにしたとのこと。
その対象世帯は174万世帯にのぼるといい、対象世帯には順次書面が郵送され、希望するコースを選択すれば、後日それに応じた物資が支給されるといった段取りだったのだが、実際のところはお米以外の品目はあまり数量が用意されていなかったようで、都から「希望のコースは在庫がないので、お米にしてください」との連絡を受ける人々が続出したというのだ。
実際、この事業はJA全農との随意契約で行われていたようで、それだけにお米だけは潤沢な用意があったということのようだが、こういった経緯によって、希望に沿わず大量のお米が届いてしまうといった世帯が続出した模様。
対象世帯のなかには食の細い高齢者夫婦や、あるいは単身者の世帯もあったりするということで、お米がある程度は日持ちする食材だとはいえ、25㎏ともなるとすっかり持て余すことに。それゆえ、今回取沙汰されているネット転売以外にも、都内各地のフードバンクにもそのお米が大量に寄せられるという事態にもなっているようなのだ。
東京都が予見し恐れていた転売の横行
この手の給付に関しては、現物給付という形だと、今回のようなミスマッチが必ずと言っていいほど起こるいっぽうで、仮に現金での給付にすると、なかには生活費に充てずに遊興費に回す者も出たりするなど、趣旨に合わない使い方をされる恐れがあったりと、ともに一長一短あるというのが正直な話。
しかしながら今回の件に関しては、当初はお米だけを配る予定だったというその経緯にくわえ、他の食材を希望した者に対しても、在庫がないことを理由にお米の給付を強いたりと、困窮する都民の救済以上に、とにかく“お米を配りたい”というのが先にありきだったのでは……といった印象が、どうにも拭えないところだ。
実際、今回の給付事業で東京都は、随意契約を結んだJA全農に対して約268億円ほどの支出を行う予定だということで、例えば対象世帯174万世帯に現金1万円を給付するのと比較しても、はるかに多額の予算をかけている模様。それだけに今回の“転売横行”が露見したことを機に「税金の無駄遣い」といった批判もさることながら、「いくら業者に中抜きさせたの?」といった疑念の声まであがっている状況だというのだ。
都が無償配布 コメが山積み「食べきれない」 転売禁止も…ネットで1000円投げ売りhttps://t.co/lXJy3eNg2A
東京都が非課税世帯に無料で米を配布するため、JA全農と契約した金額は約268億円。
税金の無駄遣いはやめろhttps://t.co/KHNa5e8pV1 https://t.co/zErjOheUNF pic.twitter.com/Xkwne7gXay
— トマス (@AZETdrclzfunJJu) September 27, 2023
転売禁止は勝手に都が決めたことであり罰則はないのは当たり前。
食べれないなら勿体無いから転売や寄付するでしょうよ。
そもそも税負担化してお米を配る都が悪い。いくら業者に中抜きさせたの?
税金の無駄遣い。
それでも大阪府知事は同じようなことをするおつもりですか? https://t.co/8xMGc3xdEn— 風谷あおい@社会保険料減税会 (@aoikazetani) September 27, 2023
そもそも今回給付されたお米だが、パッケージにあらかじめ「転売禁止」と書いてあったというのは、逆にいえば都がそのような事態が起こることをあらかじめ予見、あるいは危惧していたことの裏返しだったといえそう。
低所得世帯に届けられた大量のお米が、各家庭でそのまま死蔵されるといったことであれば、不満の声はSNS上などであがりこそすれ、さほど大きな注目を集めることはなかったかもしれないのだが、実際のところは、誰もが閲覧できるフリマサイトで転売されまくるという異常事態となり、世間の注目を大いに集めることに。
それによって、肝煎りだった「東京おこめクーポン事業」の失敗を世間に印象付けることとなったうえに、さらには“中抜き疑惑”まで取沙汰されるという、都にとっては最悪の展開となっているというのが今の状況のようだ。
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