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松潤が表紙の浜松市広報誌、無料なのに転売が横行。最近急増中の「税金が原資の自治体配布物で儲ける」浅ましすぎる転売ヤーらに冷ややかな視線

市民に向けて無料で配布されているはずの市の広報誌が、表紙に人気俳優の松本潤さんが掲載されたために、インターネットでの転売が横行する事態となっているようだ。

話題を集めているのは、静岡県浜松市の広報誌「広報はままつ」。NHKで放映中の大河ドラマ『どうする家康』の影響で、観光ブームに沸いている当地だが、今年5月の大型連休には毎年恒例の行事「浜松まつり」の騎馬武者行列には、同ドラマの主演である松本潤さんが登場し、さらなるフィーバーに。

「広報はままつ」の表紙になった写真は、そんな松本潤さんにくわえ同じく『どうする家康』に出演中の女優・有村架純さんが、市内にある古戦場「犀ケ崖」を訪れた際に、市の職員が撮影したツーショットということだが、これに全国の松潤ファンが大注目。

浜松市によると、広報誌の発行直後から全国から入手方法の問い合わせが相次いでいるといい、さらにはメルカリなどのフリマサイトでは、無料配布の媒体にも関わらず、ソコソコ高額で売られている状況なのだという。

広報誌は在庫潤沢で今後増刷される可能性も

プレミア価値の付きそうな限定アイテムなど品薄が予測される商品を定価で仕入れ、メルカリなどのフリマサイトなどで高値で売り捌くことで、その利ざやを得ようとするいわゆる“転売ヤー”。

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完全に“他人のふんどし”な商売なうえに、本当に欲しい人が適正価格で手に入らなくなるといった大きな弊害があるため、あらゆる界隈で蛇蝎のごとく嫌われる転売ヤーだが、今回のケースはそもそもタダで配布されているものを、値段を付けて売り捌いているということで、その図々しさぶりに呆れる声も多くあがっているところだ。

無料配布品の転売といえば、例えばプロ野球やJリーグのスタジアムなどでたまに配っているレプリカユニフォーム、また最近では格闘技イベント「RIZIN」の会場限定で配られたシールがオークションサイトに大量出品されたと報じられるなど、企業などがPRを目的に制作し配布したものがターゲットとなりやすいのだが、過去にはサッカーW杯で日本代表がスペイン戦に勝利した際の「号外」までも、転売ヤーの餌食となったことも

さらに昨今目立つのが、今回のように各地の自治体が作った無料配布あるいは非売品の制作物が、心無い人間に売られてしまうという話。例えば今回の松潤と同じくジャニーズ絡みだと、昨年には俳優の木村拓哉さんの顔写真がデザインされた岐阜市「ぎふ信長まつり」の非売品ポスターやパンフレットが、インターネット上で転売されたことが昨年あったばかり。

さらに広報誌だと、ライトノベル『千歳くんはラムネ瓶のなか』に登場するキャラのイラストを表紙した福井市の広報紙が、今回同様フリマサイトへの出品が相次いだことも。また自治体が配布したものといえば、東京都世田谷区が無料配布した新型コロナウイルスの抗原検査キットまでも、転売ヤーの餌食となったという出来事もあった。

抗原検査キットの転売というのは以前のマスク転売と同様、人々の不安に付け込んでの値段つり上げといった側面もあり、まさに非道もいいところなのだか、それ以前に自治体が無料配布などの用途で制作あるいは購入したものというのは、その地元自治体の予算で賄われているのは言うまでもない話。

要は、地元民の血税が原資で作られたり購入したものを、転売ヤーらは売り捌いて労せずして自らの利益としているということで、その点は大いに問題がありそうといったところである。

もっとも今回の「広報はままつ」に関しては、約80万人もの人口を抱える大都市だけあって、市の担当者によれば32万部発行しているということで、在庫もまだあり、今後場合によっては増刷も検討しているという。

さらに、A4サイズの広報誌が入る封筒に140円切手を貼り、住所と名前を記入して浜松市役所に送れば、広報誌を送ってもらえるサービスもあり、これを利用すればメルカリなどで出品されている価格とさほど掛からない金額で手に入れることができるようだ。

ポケモンとメルカリがタッグで転売対策を強化する姿勢も…

こうしてみると、さもしい転売ヤーと情弱な松潤ファンが織りなした騒動とも言えそうな今回の浜松市の件だが、物自体は潤沢にあることと、正規ルートで手に入る方法もちゃんとあるということがより周知されれば、騒ぎも直に終息しそうな情勢である。

とはいえ、広く転売行為そのものが鳴りを潜めるかというと、そんな気配は全くなく、特に最近では、人気トレーディングカード「ポケモンカード」が転売ヤーらの格好の餌食となっており、フリマサイトなどでは価格が異様に高騰しているところ。

そのため、ついにポケモン公式が「弊社では、転売等の営利を目的とした商品購入を固くお断りしております」「ポケモンセンターオンラインで、利用規約違反や転売目的の購入と当社が判断した場合は、ご注文をキャンセル、および、今後の利用を制限いたします」と注意喚起をする事態に。さらに株式会社ポケモンは、ポケモン関連商品が安心・安全に取引できるようにすべく、メルカリと協定を締結。緊密な連携を取ることで、転売対策を強化しようとしているというのだ。

この動きに関しては「やっと動いてくれた」といった歓迎の声もあがっているのだが、いっぽうでは「学校の先生が注意して皆やめたら苦労しねーぜ!」と、その効果は期待薄といった見方も。現にメルカリは、過去にディズニーとも同じような提携を結んでいるというのだが、ファン目線からすれば状況は全く改善されていないという声がほとんどのようだ。

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そんなメルカリに対しては「新古品を市場販売価格よりも高い金額で販売すること自体を禁じたほうがいい」といった声まで飛び出しているところ。転売行為に関しては、それに手を染める転売ヤーらが一番の害悪というのは言うまでもないが、その状況に手をこまねいている感もある、メルカリをはじめとしたフリマサイト側にも、事態改善に向けて思い切った手を打つ責任があるというのが、多くのユーザーの考えるところのようだ。

Next: 「こいつらは数百円のために動くのか」

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