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「サイン本書きまくる」宣言だけで転売価格が下落。ガンプラでも実証された“供給過多”による転売ヤー撃退が効果絶大との声

自身のサイン本が高額転売されていることに気付いた歴史小説・時代小説家の今村翔吾さんが、大量のサイン本を作ってあえてサイン本の価値を下げることで、転売ヤーを撃退したというが大いに話題となっている。

『塞王の楯』で直木賞を受賞した今村さんは、SNS上で自らのサイン本が高額転売されていることを知り、ならばその価値を「暴落させよう!」と、どんどんとサインを書くことを決意。

最終的に出版社とともに1万冊以上のサイン本を作ったという今村さんだったが、実際“どんどんとサインを書く”ということを宣言した時点で、フリマサイトなどでの転売価格が減額するという現象が起こったという。

まさに効果絶大といった転売対策に、SNS上では「素晴らしい対応」「カッコ良すぎる」などと称賛の声が多くあがっているようだ。

「侍ジャパン」界隈にも転売ヤーが暗躍

これまで様々な界隈で取沙汰されてきた悪質な転売の問題。販売側なども何かと対策を講じるものの、すぐにその隙を突く者が現れるといった格好で、まさに“いたちごっこ”が延々と続いているといった状況だ。

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そんななか、最近ではコロナ禍で中止を余儀なくされていた音楽ライブや演劇、スポーツ関連などのイベントがすっかり復活したということで、それに伴ってチケット類の転売が急増しているとのこと。

ここ最近では野球の世界大会であるWBCが転売ヤーらのターゲットとなっているようで、報道によれば定価5万2,000円のネット裏の席のチケットが、某チケット売買フリマアプリでは1枚125万円という、およそ24倍の異常な高値で売られていたのだとか。

またWBCでいえば、日本代表「侍ジャパン」のグッズも、ネット上のフリマサイトで連日のように高額で転売されている状況。そんな転売ヤー対策のため、グッズが売られている公式ショップでは、入店できる順番を事前の抽選で決めることにしたようだが、すぐさまその抽選券をSNS上で転売しようとする人間が現れたということだ。

いっぽうで、このところ市場が急拡大しているトレーディングカードの世界にも、当然のように転売ヤーが多く暗躍。特に、先日も中古カードが「1枚7億円」で売れたというニュースもあった「ポケモンカード」に熱視線が集まっているようで、カードの発売日には朝4時台という早朝から、転売ヤーらしき人々が列をなしている模様だ。

さらにポケモンカードでいえば、その転売のために“買い占め”するならまだしも、他人名義のクレカを用いて大量購入を行い詐欺の容疑で逮捕されるという、完全にアウトな人間まで登場したようで、なんとも末期的といった状況のようだ。

ガンプラで転売ヤーが大爆死

このように事あるごとに伝えられる転売ヤーによる悪行の数々を、苦々しく思っている層は相当多いだろうということもあり、SNS上では多くの人々から好意的な反応が寄せられることとなった、作家・今村翔吾さんによる“サイン本量産”。

そんなサイン転売に関しては、先述のWBCにも出場しているダルビッシュ有投手が、先日「別に僕はもう、逆にその人たちがもうかるなら別にいいと思うし、その分もっと書いたれって思っているぐらいなので」「変にそういう人たちを避けて、本当に欲しい人に届かないというよりかは、書けるだけ書いて、本当に欲しい人に届いてもらったらいいなというふうには考えてますけど」と発言したことが報じられたところ。

今村さんが転売ヤーの存在を大いに意識したのに対し、ダルビッシュさんはその存在を無視するといった真逆のスタンスなのだが、行動としてはいずれも“サインを書きまくる”ということで、それによってある種の“供給過多”といった状況を作るという点では共通していると言えそうだ。

そんな“供給過多”が転売対策で功を奏したという事例は、これまで転売ヤーの暗躍が大いに問題視されていた「ガンプラ」の世界でも。

取沙汰されているのは、新作TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』関連のガンプラで、製造元のバンダイは転売対策を考慮したのかは不明ながら、その定価を1,000~2,000円という比較的安価に設定したうえに、出荷数もかなり多くしたとのこと。これにより転売による差益が低くなり、脊髄反射的に手を出した一部の転売ヤーは、手間賃などを考えればほとんど儲からない状況に、在庫を安価で投げ売りせざる得ないという事態になったというのだ。

このように、考えてみればいたって単純な話ながらも転売ヤーにとっては一番痛い“供給過多”作戦だが、とはいえ今村翔吾さんにしてもダルビッシュ有投手にしても、本業を差し置いてサインばかり書いているわけにはいかないというのは当たり前の話。またガンプラの話にしても、転売ヤー対策に有効とはいえ低単価の商品ばかり作っていたのでは、そもそも会社として儲からないわけで、いずれにしても限界があるというのが実際のところだろう。

転売の“現場”となっているフリマサイトにしても、その手の行為への抜本的解決に関しては消極的といった姿勢も見え隠れするだけに、そうなるとやはり「転売ヤーからは買わない」という意識のさらなる広がりに期待するしかないといったところだろうか。

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