前年からの回復が目立つ「SOMPO」
そして、今回の決算で最も目立ったのはSOMPOホールディングスだと思います。
通期の経常利益を13%上方修正しました。
第2四半期は増収増益の決算です。前年がコロナ禍の保険金の支払いや自然災害の影響で赤字であったのに対し、今期はコロナ関連保険の支払いの剥落の影響を受け、黒字転換となりました。
経常収益 2兆6,598億円(+5.3%) 経常利益 1,810億円(黒字転換)
今期の詳しい決算内容を見てみましょう。
不思議なことに、SOMPOだけは国内の損害保険金の発生が抑えられているのです。
出典:24年第2四半期 決算説明資料より作成
その理由は、前年にあります。SOMPOは前年自然災害の影響で、修正利益に対し984億円のマイナス影響を受けました。(東京海上750億円、MS&AD585億円)
「2023年3月期は、自然災害が多かった。だから2024年4月期は多めに保険金を蓄えておこう。支払いの準備をしておこう」という動機が働いていたと考えます。
しかし、(私の感覚ですが)今年はそこまで災害が多かったようには感じません。
損害保険会社は、緊急の災害時に保険金を支払えるように保険金を蓄えています。しかし想定よりも災害が発生しなかった場合は、蓄えていた保険金の一部を利益に足し戻すことができます。結果、自然災害の減少影響(国内自然災害のダメージの少なさ)、という形で修正利益に好影響を与えています。
また、この取り崩し金が「異常危険準備金の取り崩し」という名目で通期利益の押し上げにもつながっています。
出典:24年第2四半期 決算説明資料より作成
このように、前年からの回復が目立っているのがSOMPOホールディングスの決算です。
言い換えるならば、昨年の災害動向を見て、厳しめに見通しを立てていたとも考えられます。
損保のリスクをどう考える?
ここで、損保各社の決算内容をまとめます。
東京海上:悪くない。海外保険が悪材料をカバーしている
MS&AD:厳しい。国内保険の収益性悪化が目立つ
SOMPO:悪くない。厳しめの見通しに反して、国内の悪影響が少ない
このような状況であると考えます。
しかし… そもそも考えなくてはいけないことがあります。
ビッグモーター騒動と、カルテル騒動のリスクをどう捉えるか?ということです。
決算資料にはこの騒動に関する進捗と、再発防止策についての説明ページがあります。CEOの説明会においても、まずは騒動の謝罪から始まっています。現在は金融庁や社外調査委員会の調査が入っており、今後最終報告書を受理する予定です。その内容によっては新たな悪材料が生まれる可能性があります。
とはいえ、これら騒動から少しづつ時間が経ち、市場はこのリスクをある程度織り込んでいるとも考えられます。これらのリスクをどう考えるかによって、投資するか否かが決まります。
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