短期投資としては高難易度
世界に対して優位性がある日本の半導体企業ですが、投資となると難しい側面もあります。
特に短期で見ると、半導体銘柄は値動きが非常に大きいのです。
これは東京エレクトロンの株価推移ですが、上がったり下がったりすることはもちろんなのですが、注意すべき点はその期間で、2022年1月から2023年1月の約1年で株価はほぼ半値になっています。
しかし現在では上場来高値ということで、短い期間で半値になったり倍になったりしています。
このようボラティリティが大きい銘柄は、短期の投資家にとってはやりがいもあるかと思いますがリスクも非常に大きいです。
一方、長期の視点で見ると、例えば東京エレクトロンを2016年頃から持っていれば今では4~5倍になっているということになり、長期では持っていられる銘柄です。
長期の潮流に乗っている銘柄であれば、仮に一時的に高くなった時に買ってしまっても、成長を続けていずれは株価もさらに上がっていくことになります。
よって、半導体銘柄は短期での投資は難しいですが、長期で考えるなら買えるというのが私の意見です。
シリコンサイクル
半導体銘柄の株価が大きく変動する原因の一つは、「シリコンサイクル」と呼ばれる現象です。
半導体の製造を増やすためには工場建設に1年以上、製造にはさらに数ヶ月を要し、需要変動に即座に対応できません。
生成AIの需要が急増している中、製造が追いつかず不足状態が続く可能性もありますが、これが解消されると供給過多になり、価格が下落するなどの問題が生じる可能性があります。コロナ初期にパソコン等の需要増により半導体不足となりましたが、今では逆に余っている状況となり、2023年は半導体不況期であったことは間違いありません。
その不況が底を打ったと見られたことで、今半導体銘柄の株価が盛り返しているところです。
半導体の株価は実際の業績などよりもかなり先んじて動く傾向があります。
シリコンサイクルの底は2023年7月頃だったと思われますが、株価は2023年初めには底を打ち上昇し始めていて、決算や半導体の出荷状況を見てから動いていては遅いということになります。
これが短期投資は難しいとする所以です。
どのように買えば良いか
前提として、半導体は「長期潮流」に乗っていて、需要は今後も増え続けると考え、基本的には買いで良いでしょう。
今この瞬間に買っても、長い目で見たらそうそう損はしないだろうと考えています。
ただし、すぐに上がるかどうかは予測が難しく、シリコンサイクルの動向によっては大きく下落することもあります。
買うことに変わりは無くても、当然安い時に買えた方が良いということになります。
よって、余力を残しつつ少しずつ買うというのが戦略として効果的だと思います。
まったく買わないのももったいないので、まず少し買って、もしその後株価が下がった時には多めに買って取得単価を下げると良いでしょう。
注意すべき点は、“競争優位性”を保持し続けられるかというところです。
他社の技術が追い付いてきてしまった場合にはシェアが奪われてしまい利益が減ることになってしまいます。
競争優位性を失わない限りは、シリコンサイクルの影響等で半導体銘柄全体が下がっている時には買い増していけば良いと考えます。
株式投資は、「買い」か「売り」かの二者択一ではありません。
少しずつ買う(売る)といった様々な選択肢があります。
多くの可能性を考え、少しずつ進めていくことが、失敗を防ぐためには有用です。
株価の動きは予想できるものではないので、一番うまくいった場合の成果を少し削ってでも慎重に進めるべきだと思います。
0か1かではなく、間にある様々な方法を考えることで、大きな失敗は避けられるでしょう。