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日銀の超低金利政策で儲かったのは誰か?ゼロ金利“成金”が続々と生まれた理由。追随した投資家たちは借金まみれに=神樹兵輔

今回は「日銀の超低金利政策で儲かったのは誰だ?貧乏から金持ちになった人たちは、はたしてこのまま逃げ切れるのか?」というテーマでお届けしたいと思います。日本では史上かつてない、超低金利政策が続いてきました。そして、いまだに日銀は出口が見通せず、あえぎ苦しんでいますが、この超低金利時代を生き抜いて成功してきた投資家たちの軌跡をたどり、過去・現在・未来を展望していきたいと思っています。(『 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる! 』)

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※本記事は有料メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2024年1月8日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:神樹兵輔(かみき へいすけ)
投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

「ゼロ金利政策」のせいで銀行は手数料ビジネスに邁進…

日銀が低金利政策を始めたのは、今を去ること25年ほど前の1999年でした。この年に、90年代のバブル崩壊過程を通じて金融が目詰まりを起こしたために段階的かつ急速に下げてきた政策金利を、ついに0%に下げざるを得なかったからです。

いわゆる「ゼロ金利政策」です。

以降は今日にいたるまで政策金利は、0%近傍で推移してきたのです。

2016年1月からは、当座預金の一部には、「マイナス金利」まで導入してしまった始末です。

これが金融機関を苦しめ続けるのには、十分でした。

銀行の本来の貸し出し業務での「利ザヤ」稼ぎが、とことん封じられてきたからです。そこに低金利貸出し競争まで煽られました。

金融機関の経営は、日銀の金融政策でさんざん経営を圧迫され続けてきたのです。

そのため、今では銀行の窓口販売で、手数料収入を得ることが主眼となり、保険や投資信託など、ベラボーに手数料収入の高い金融商品を顧客に売りつけることが普通に行われる――という有様になっています。

銀行がこれまでの真面目でお堅いイメージの「信用」を利用して、顧客を騙すような「詐欺的金融商品」を売りつけてくるようになったのです。

金融商品の仕組みがよくわからない高齢者がターゲットにされ、虎の子の「老後資金」を奪われるケースも頻発してきました。

金融機関も、生き残りに必死だったからです。

金融庁の指導を何度も受けて、少しはまともになったかのように見えますが、もはや銀行や証券会社であっても、その辺の詐欺集団と変わらない――と思って付き合ったほうが安心でしょう。いや、むしろこれからは、付き合うのもやめるべきでしょう。

高齢者の方も、パソコンでのネット操作を勉強して、ネットで金融取引を完結させたほうが安心です。

いずれにしろ、元をたどってみると、日銀の超低金利政策が「諸悪の根源」だったのです。

イールドギャップを活かしたレバレッジ不動産投資が「サラリーマン大家さん」ブームを起こした

「イールドギャップ」というのは、単純に言えば「金利差」のことです。

日銀の政策金利が0%近傍状況となれば、市中の長期金利も影響を受けます。

住宅ローンが1%を下回って0.5%とかになったり、投資用不動産ローンも1%~2%とベラボーに低い金利が各行で並ぶようになります。

こうした貸出し段階での「カネ余り状態」は、資産への投資、とりわけ実物資産投資にはもってこいの状況となったのです。

何しろ、80年代後半のバブル景気で押し上げられた不動産価格は、最高値から半値以下になってしまった物件が多かったからです。

物件価格が下がっても、人口が減って物件自体が余り気味でも、家賃収入のほうはそう簡単に下がってきてはいません。

すると、不動産の家賃収入という表面利回りと、金融機関の貸し出し金利との間にギャップが生じます。

地方で5,000万円のアパートを1%の金利で融資を受けたとしても、家賃収入のほうが物件価格に対して10%の利回りがあれば(家賃収入500万円)、単純な金利シミュレーションで、差額の9%の表面ギャップがあるように見えます。

税金や諸経費、空室率などを除外して、全期間満室想定とすると月額の表面家賃収入は41.6万円です。

それに対して5,000万円を25年間で2%の金利で借り入れると元利合計の返済額は月額25.3万円です。

単純計算で、「41.6万円-25.3万円=16.3万円」。表面だけでも、16.3万円のキャッシュフロー(現金の流れ)が、もたらされることになるわけです。

地方の物件であれば、満室想定利回りが、15%や22%などもザラにありますから(需要が少ないと利回りは高い)、このキャッシュフローはどんどん大きくすることも可能なのです。

また、融資さえ受けられれば、投資規模の拡大が、これまたどんどんできるわけです。

そこで、サラリーマンで属性が高い人は、金融機関からの融資がより多く期待できますから、不動産投資をすることでキャッシュフローを得て、サラリーマンとして源泉徴収された税金を取り戻す節税にもなる――とブームを呼ぶことになったのが「サラリーマン大家さんブーム」なのです(不動産投資は諸経費の他、減価償却も出来るため経費計上が多くなり、損益通算すると払った税金が還付されるという税制上の仕組みがあります)。

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