その理由はいくつかあるが、相場にもっとも大きな影響があったのが、ビットコインのマイニングを行うマイナー業者によるビットコイン売りの加速である。ビットコインの半減期が100日未満となっている。周知のように、ビットコインの供給が半分になるのが半減期である。この結果、半減期を過ぎるとマイナーは大きな損失を被る。
今回、ETFの認可でビットコインの相場が約702万円まで高騰したタイミングで、マイナー業者が一斉に手持ちのビットコインを売りに出たのだ。
10億ドル以上の価値がある数万ビットコインが取引所に送られ、マイナーの流出が数年ぶりの高水準に達している。「CryptoQuant」のデータによると、マイナーからのBTC送金の他のいくつかのピークは、2022年6月、11月、2023年3月、8月の価格の底値と一致している。このデータは、マイナー業者によるビットコインの一斉売りが相場にどれほど大きな影響力を持つのか示している。ビットコインETFの認可による上昇で、はからずも今回はこれが起こったのだ。
他にも要因は考えられるが、これはもっとも大きな要因だと思われる。
こうした背景なので、ETF承認後にビットコインの相場が下落したことにアナリストたちは、現在のマイナーの流出が、米国初のビットコインETFの上場の影響で起きていることから、過度に弱気なシグナルではないとしている。半減期を前に、今後は上昇するという予想が多い。
しかし、弱気の予測もあることに留意しなければならないだろう。ビットコインは10月上旬から80%の大幅上昇を記録し、2年ぶりの高値をつけた。暗号調査会社「Swiss Block」はマーケットレポートで、ビットコインETF発表に向けて49,000ドルまで上昇したビットコインの最後の足が、燃料切れの兆候を見せ、売りが47,500ドルの価格水準を上回ったと指摘した。
このレポートでアナリストは、「最近のビットコインの動きは、多くのビットコイン最大主義者が設定した期待に応えておらず、資産は5万ドルの大台を突破できず、ETFをめぐる誇大広告は冷え込む兆しを見せている。現在の重要な問題は、市場が上昇の勢いを維持できるかどうかである。42,000ドルの価格水準は、買い手が市場に参入する可能性があるため、ビットコインが跳ね返される可能性がある重要な流動性ゾーンを形成している」、とレポートは説明している。
このレポートのように、42,000ドル(約609万円)の価格水準を下回ると、ビットコインは上げるのではなく、むしろ失速する可能性があると指摘する予測も多い。
「BlackRock」のCEOがイーサリアムETFを支持
先週のビットコインETF認可の狂騒の背後で注目すべき動きがあった。それは、イーサリアムのETFに向けた動きである。「BlackRock」のラリー・フィンクCEOがイーサリアムETFを支持する発言をしたのだ。
「BlackRock」のラリー・フィンクCEOは、待望のビットコインETFが稼働した翌日、イーサリアムETFの構想を支持し、CNBCのインタビューで次のように述べた。
「私はイーサリアムETFに価値を見出す。これはトークン化に向けた足がかりに過ぎず、私は本当にこれが我々の進む先だと信じている」
「BlackRock」の「シェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」は、「証券取引委員会(SEC)」がファンドを承認した後、米国で取引デビューしたいくつかのそのような商品の一つであった。「IBIT」はETFの総取引高46億ドルのうち約10億ドルを占めた。
資産運用大手である「BlackRock」は現在、トークン化に向けた進行中のプロセスの一環として、イーサリアム・ブロックチェーンのネイティブ・トークンに相当する商品の上場を目指している。トークン化とは、ブロックチェーン上のトークンの形で資産を表現することを指す。フィンクは、トークン化によってマネーロンダリングやその他の汚職に関する問題を排除できると考えている。これはイーサリアムETFをデジタルなトークンの形で販売することを意味する。
フィンクはまた、暗号通貨を通貨としてではなく、資産クラスとして見ていると述べ、特にビットコインについて、地政学的リスクの懸念から「あなたを守る資産クラス」と言及した。
「暗号通貨は、何千年にもわたって金が象徴してきたものと何ら変わりはない。金と違って、ビットコインは作れる量がほぼ限界にきている」
このように述べ、これからはビットコイン、ならびにイーサリアムなどの有力な暗号通貨が金とならぶ資産になると力説した。







