インターネットで最も重要だったのは「検索」だった
そんなわけで、「インターネットに大きな未来がある」というのは、一般人にはよく理解されなかった。しかし、Microsoftの創始者であったビル・ゲイツはすぐにインターネットの重要性に気づいた。
インターネットはビジネスの生産性を劇的に向上させ、これが次の時代のOSになると理解していたのだ。
そのインターネットの「入口」になるインフラはブラウザだった。
だから、Microsoftは当時やったことは、ブラウザの代名詞だったNetscapeを全力で潰しにかかることだった。ビル・ゲイツはインターネットの入口となるブラウザを押さえればインターネットを独占できると考えたのだった。
たしかにブラウザを押さえるのは重要なことであった。Netscapeを叩きつぶしてIE(Internet Explorer)でブラウザ戦争に勝利したMicrosoftの戦略は正しかったとも言える。
しかし、インターネットで最も重要だったのは「検索」だった。
広大で膨大なインターネットのコンテンツは、どんなコンテンツがどこにあるのか誰も辿り着けないほど広大だった。そのため、様々な「リンク集」が生まれたのだが、そのリンク集の最大手が「Yahoo!」だった。
しかし、Yahoo!は人力でリンクをまとめるサイトだった。そこに「コンピュータでサイトを回って、何かの言葉を検索ボックスに入力したらリストが出てくる」という発想をする会社がいくつか生まれた。
その中のひとつが「Google」だった。
「検索ボックスに文字を打ち込んでボタンを押したらリストが出てくる」というシンプルなシステムは、確かに便利なものだったが、やはり後にそれが現代文明で最も重要なシステムになると想像できていた人はほとんどいなかった。
無料で使わせて巨大化していったGoogle
もっと人々が理解できていなかったのは、システムが無料で誰でも使えるというビジネスモデルだった。当時のGoogleは赤字の企業であり、システムは無料だった。
無料で検索エンジンを使わせて広告で運営を維持するというスタイルだったが、モノやサービスは「売って利益を出す」という従来のスタイルが堅実なビジネスであると思われていたので、無料で何でも使わせるというビジネスモデルはなかなか理解されなかった。
しかし、この「よく分からないもの」が文明をも変えてしまう超巨大なビジネスとなり、世界を君臨することになっていくのだった。
検索エンジンは全世界のサイトをインデックス化し、情報を一瞬にして提示する。生産性の向上は計り知れず、もはや現代人は検索エンジンなくして生活できないほどになっている。