なぜ日本のGDPは伸びないのか
日本のGDPがここ30年ほど伸びていないことも事実であり、悲観すべき部分も確かにあります。
しかし、日本が貧しくなっているかというと、必ずしもそうではないと思います。
海外では貧富の差が大きく、ホームレスやスラムもあったりします。
しかも、実は日本はお金持ちの国でもあります。個人金融資産は2,000兆円を超え、世界第2位となっています。
なぜ、金融資産は多くあるのにGDPが低いのでしょうか。
それは、年齢構成を考えれば明白です。GDPは1年でどれだけの付加価値を生んだかということです。付加価値を生むのは、基本的には生産年齢人口です。GDPは、生産・消費・給料(分配)の3つで測ることができますが、これらの動きが大きいのは働き盛りの人たちということになります。
働き盛りの人口が多いとGDPが伸びやすいということになりますが、日本は高齢社会です。高齢者はほとんどの人は働きませんし、給料ももらいません。大きな消費もあまりしません。ということは、必然的にGDPは下がっていくことになります。
一方で、老後のために貯金をしていたりすると、金融資産は積み上がっていくという状況です。
つまり、今の日本は、お金は持っているけどあまり使っていないからGDPが低いということであり、そこまで悲観する必要はないということです。
株式投資とGDP
株価とGDPは連動するものではありません。
株価は、目先では上がったり下がったりするランダムウォークですが、長い目で見た時には企業の利益と連動します。
バブル期の頃からすると、長期にわたって、特に上場企業に関しては利益を増やしてきています。
『21世紀の資本』を書いたトマ・ピケティ氏が提唱している、「RはGより大きい」、つまり、投資によるリターンはGDPよりも大きい、という論理が働いていると言えます。
株価とGDPが連動しないもう1つの理由として、株式が必ずしも日本国内だけで考えるものではないということがあります。
国内で稼ぐ企業もありますが、海外で稼ぐ企業もあり、海外での利益は必ずしもGDPに反映されていなかったりします。
つまり、日本企業が海外売上比率を高めれば高めるほど、利益は上がってもGDPは上がらない状況となり、GDPと株価の差は大きくなります。
さらに、海外での売上には円安が貢献しています。
円安は名目GDPを下げるマイナス要因であると先述しましたが、企業にとって円安は大きなプラス要素となります。
円安になるほど海外で売りやすくなり、利益が増え、株価が上がるということになります。
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