アパレル各社の24年2月期の発表がそろそろ一巡する。当期は外出機会の拡大などで多くの企業が好調な結果をだしてきており、その背景にはアパレル以外の事業の成長も見て取れる。前期の好調はもちろんのこと、今期以降の成長にも期待がかかるアパレル各社について、以下にその代表事例を見ておきたい。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)
※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2024年4月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。
好決算の発表相次ぐアパレル各社
アパレル各社の24年2月期の発表がそろそろ一巡する。当期は外出機会の拡大などで多くの企業が好調な結果をだしてきており、その背景にはアパレル以外の事業の成長も見て取れる。
オンワードHDが4月4日に発表した2024年2月期の連結決算は、純利益が前の期の2.2倍の66億円だった。外出需要が回復し主力ブランド「23区」などが堅調。機能性に優れた新規ブランド「UNFILO(アンフィーロ)」でヒット商品も出た。
また、アパレル国内3位のアダストリアが発表した2024年2月期連結決算は純利益が前の期比79%増の135億円で過去最高益となった。人流回復に伴い主力ブランドの販売が好調で収益をけん引している。今後はイトーヨーカ堂など異業種向けの商品供給にも力を入れる方針。企業からアパレルや食品のパッケージなど幅広い商品の企画や製造を手掛けながら、これまで培ってきたブランドや商品の開発生産について持つノウハウを外部企業へ提供する新たな事業モデルを早期に確立する。
このように、前期の好調はもちろんのこと、今期以降の成長にも期待がかかるアパレル各社について、以下にその代表事例を見ておきたい。
オンワードHD<8016>
主力ブランドの「23区」は、前期に販売促進を強めた結果、16%増収。アパレル事業に加えて、化粧品などライフスタイル事業も伸びる。ペット業態(ペット関連用品、なごみ雑貨の企画・販売)も訪日客消費が追い風となって好調が続く。オリジナルキャラクター『しろたん』は、やわらかな手触りの抱きぐるみ・ぬいぐるみを主力商品とし、ライセンスビジネスも行う。
25年2月期は、売上高が前期比5.5%増の2,000億円、営業利益は同11%増の125億円、純利益は215増の80億円を見込んでいる。SCを軸に新規出店に注力。国内事業の増収基調が続くほか、欧州を中心に海外事業も収益が改善する。
株価は、4月8日に年初来高値を更新。今期の年間配当は24円(前期は20円)を計画しており、足元の利回りは3.7%程度と魅力の水準。
アダストリア<2685>
けん引役は主力ブランドの「グローバルワーク」と、衣料・雑貨ブランドの「ラコレ」。24年2月期における主力のアパレル・雑貨関連事業のセグメント利益は前の期比51%増の185億円だった。
電子商取引(EC)も収益を押し上げている。自社EC「ドットエスティ」の会員数は24年2月期に前の期末比200万人増の約1,750万人へ。売上高に占めるEC比率(他社ECを含む)は直近で28.3%と同業のしまむら(1.1%)やファーストリテイリングの国内ユニクロ事業(14.4%)よりも高い。
収益源の多様化を模索する中で目を付けたのが他社向け商品の企画開発。ヨーカ堂向けは60店強での展開予定と現時点では、まだ限定的。現在は複数ブランド戦略を基軸にする。グローバルワークと「ニコアンド」の2大ブランドをはじめ衣料、雑貨で幅広く商品を展開。「ニコアンド」では住宅販売も始めた(千葉市)。さらに、このほどハワイをテーマにした飲食店を展開するゼットンの完全子会社化を発表し、外食の展開も加速する。
25年2月期は、売上高が前期比5.2%増の2,900億円、営業利益は同5.5%増の190億円、純利益は0.6%減の127億円を見込む。今期最終減益見通しを受けて足元の株価は調整含みとなっているが、中長期的成長余力を考慮すると、一時的な押し目はチャンスと見られる。
ワールド<3612>
24年2月期は11カ月間の決算だったが、外出用の服飾品の需要が回復し既存店売上高が伸びた。既存店売上高は24年2月まで24カ月連続で前年同月を上回った(3月は気温が低かった影響で97.9%)。特にショッピングセンター向けのブランドが伸びており、子会社のティンパンアレイ(東京・品川)が展開する、高級ブランドの古着を扱う専門店「ラグタグ」(ブランド品リユース)も好調だった。
25年2月期は12カ月決算に復帰。25年2月期の第2四半期累計予想は、売上高が前期比6.1%増の1,093億円、営業利益は同25%増の73億円、純利益は29.3増の42億円を見込んでおり、今期も好調が続く見通し。下半期を中心に店舗純増に転換を図る。
株価は4月1日に年初来高値を更新したが、足元の予想PER=8.49倍、PBR=0.87倍、今期予想配当は年75円を計画しており、利回りは3.56%と魅力の水準にある。 ※2024年4月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2024年4月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。 ※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込1,100円)。
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田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット
田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット
』(2024年4月12日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による