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勝負に勝って戦いに負けた舛添要一 品格なき知性、奸計による挫折=吉田繁治

(2)支出規定の穴を狙い、家族の支出を「政治活動費」に

政治活動費にするには、家族以外の人との会談、会議、会食などがなければならない。このため舛添氏は「ホテルで会合をした」と言い切ってしまった。この時点では、事実の認定はできないと考えていたからです。

(3)“落とし穴”に陥った舛添氏

ところが、宿泊のときに書いて示す領収書の宛名は、舛添氏の政治団体でした。宿泊時点で、政治資金として支出することを決めていたからです。

しかし舛添氏は、「元日の午後、宿泊していた部屋で出版社社長との会談」があった、このため、チェックアウトで支払うときに政治団体の名前にしてもらったと言う。

そしてその政治団体名が書かれた領収書はプリンターで印刷されたものでした(公開される政治資金報告書に添付)。これにより、最初から政治団体名で予約したことが判明したのです。

(4)「領収書の宛名」に矛盾

メディア関係者がホテルで確認したところ、チェックインのときに書く領収書の宛名を、チェックアウトのときに変更すれば手書きになることが分かった。「会合があった」という立論は、物的な証拠から崩れ、どうにも言い逃れができなくなって都知事を辞任したのです。

全部がひっくり返った

政治資金の支出はルール通りであると言い切ってしまったため、それに反する事実が出たとき、「他のすべても嘘」とひっくり返ってしまいました。

当初から、法に詳しくないので政治資金としての妥当な支出への認識に誤りがあったかもしれない。私的な支出を政治資金から出してしまう誤りを犯していたかもしれない、という姿勢なら、メディアと世論の風向きは変わっていたでしょう。

他の政治家も、舛添氏ほど多くはなくても、類似のことを行っているのは知っているからです。

問われていることへの認識の誤り

本人は周到なディベートと思っていた詭弁の過程で、舛添氏に選挙民が寄せていた信頼が崩壊しました。常識に反する見苦しい詭弁を使う人は、今後も何をするか信用できないと連想されるからです。古来から言う、自ら堀った墓穴でした。

「あんなにウソばっかりついて他人を傷つけて、いつか要一は手痛いしっぺ返しを食らう」と日ごろから言っていたという舛添氏の亡き母は、未来を知っていたように思えます。


※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2016年6月15日号を一部抜粋・再構成したものです。メルマガでは今回ご紹介した以外にも、以下の内容を詳しく解説しています。

政治団体への寄付の所得控除と、政治活動費の関係

追及を受けた舛添氏が異常にしぶとく粘った原因は、私的支出が、刑事罰を受ける脱税にも発展しかねないからだった

国会議員には、タックスヘイブンと株取引の禁止が必要

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ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで』(2016年6月15日号)より一部抜粋、再構成
※記事タイトル、本文見出し、太字はマネーボイス編集部による

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