幼少時代の貧困と、既存の権威への媚びへつらい
幼少のころ貧困だったという舛添氏は、逆に、既存の権威(エスタブリッシュメント)を崇める性格をもっています。
このため、「元特捜検事から政治資金支出について厳しい追及を受けた」と言えば、メディアは服従すると世間知らずに考えたのでした。これも、佐々木善三弁護士の不用意な、したがって彼の過去の検事としての仕事の本質を現していると思える言葉により崩れたのです。
舛添氏は「立場が上になると人を見下す」下司(げす)な性格をもっています。氏が『朝まで生テレビ』などメディアに出始めたころでしたか、同僚だった助教授に聞いたところ、一言「あいつはねぇ、イヤな奴だよ」とのことでした。彼には支援する友人もいません。
ディベートには勝てるという自信から出たと思われる、奸計でしかない言い逃れなどしなければよかったのです。「政治資金報告書への計上に、認識違いと間違いがありました」と言うべきでした。「間違いはない」と言い張ったことが舛添氏を誤らせたのです。
舛添氏は、生来、詭弁の言い逃れを含むディベートに強かった。ソクラテスが唾棄した、ギリシア時代のソフィスト(詭弁家)の知性です。
「言い逃れ対応」の多さ、奇妙な論理と事実の矛盾が、メディア・都民・議員に嫌悪感を含む反感を生じさせ、都民アンケートで95%が辞任を求めるに至ったのでしょう。
しかし、メディアを通じてしか機会がない国民には、これまで実態が見えなかった。このため舛添氏は「権威」を論破する知性と見られて人気を得ました。舛添氏は200万票とれるのは自分だけだと豪語していました。票が政治権力を与えたのです。現在は何票でしょうか。1万票もない。
(注)自民党内の権力も獲得票の序列で決まります。代議制における政治的権力は国民が与えます
「間違えて計上した」とは決して言えなかった理由
しかし舛添氏には、私的支出を政治活動への認識の誤りから間違えて計上していたとは決して言えない理由がありました。後述しますが、政治団体への自分の寄付が所得控除されるという仕組みを利用して、事実上の脱税を行っていたからです。
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