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勝負に勝って戦いに負けた舛添要一 品格なき知性、奸計による挫折=吉田繁治

ディベート上手が裏目。とっさに思いついた反論が命取りに

とっさに思いついた奸計が、舛添本人に、追及されていることの本筋を間違えさせました。「本当はどうだったのか」という質問に対し、政治的なディベートのように対応してしまったのです。

舛添氏は、厚生大臣のときも人に任せず、自分で聞き、すべてを行う性格でした。今回もこの性格のため、過去に自分が言った言葉と事実の矛盾で追い詰められたのです。

普通なら使わない「事務方が上げてきた」という表現(「最大の反省はこれまでの前例を踏襲して、事務方が上げてきたものを何のチェックもしてこなかったことであり、きちんと改めたい」)には、部下への傲慢な接し方が見えます。

公用車の私用は、内部告発だったでしょう。飛行機のファーストクラスやラグジュアリーホテルのスイートルーム利用は、石原慎太郎元知事が始めたことです。

「気温が低いときには?」

また、シルクの中国服購入は、依頼された色紙に揮毫するためのものであり、政治資金規制法が認める政治活動の支出になるというお笑い論理まで作ってしまった。この記者とのやりとりは実に面白いものでした。

自分は柔道をしているので肩の筋肉が張っている。背広では窮屈でひっかかるが、シルクの中国服は生地がツルッとしていて毛筆の字が書きやすいから買ったという。

ここで記者から「袖のない服を着れば?」と問われた舛添氏は、一瞬、虚をつかれて、こう言いました。

気温が低いときには?

ディベートのときのように反論を思いついたのです。記者の間で、期せずして笑い声が起こりました。嘘の上に嘘を正当化する言葉を発したからです。

嘘を正しいと言い張る舛添氏には、この笑いの意味が分からない。子供のように口をすぼめ、「なぜ笑うのだろう」という表情でした。

さらには「十分に説得的で、政治活動の経費として納得できる」と是認したことが、“ヤメ検”の佐々木善三弁護士の信用をも落とし、この人も「関係者は関係者です」という名言とともに、一挙に、喜劇的人物に落ちてしまいました。

「関係者は関係者です」が表現するのは、弁護士は依頼人の不利につながる名前は言えないということでしょう。これが事実認定をしていないということの間接証明になりました。またこの表現で、「舛添氏の言うことを保証する関係者がいない」ということも示したのです。

舛添氏が、「厳しい」という余計な形容詞をつけた「第三者」としての立場は、依頼した弁護士にはあり得ません。このとき、「厳しい第三者の目」によるとした政治資金報告書の検証の信用も崩壊しました。

Next: 舛添氏幼少時代の貧困と、既存の権威への媚びへつらい

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