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トランプは米国版「ペレストロイカ」を目指している?景気後退を容認、ソ連崩壊と同じ道をたどる可能性も=高島康司

トランプ政権は、アメリカの景気後退を容認する姿勢を明確にしている。その理由は、現在のアメリカのシステムは持続不可能だと考え、旧ソビエトのゴルバチョフ書記長が行ったペレストロイカを、アメリカで実施しようとしているからだ。これを解説する。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)

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トランプが実施しているのはペレストロイカか?

トランプ政権が実施しているのは、旧ソ連の「ペレストロイカ」と似たものである可能性について解説する。

トランプ大統領とプーチン大統領との電話会談が行われ、ウクライナ戦争の停戦にむけて一定程度の進展があったようだ。ロシアはウクライナのエネルギーインフラへの攻撃を30日間中止することに合意し、さらなる停戦交渉をサウジアラビアで行うことに同意した。

2時間28分に及んだ会談の内容は、90%以上が公開されていない。ロシア政府のペスコフ報道官は、「会談後に世界はずっと平和になった」と発言している。トランプとプーチンの間には一定程度の信頼関係はあることから、停戦に向けての交渉は実質的に進展したと思われる。

まだ未発表の内容がほとんどで、これからわかってくるはずだ。これについては、次回以降の メルマガ メルマガ で詳しく書くことにする。

今回は引き続き、これから始まるアメリカの不況について解説する。トランプ政権は不況を容認する姿勢を明確にしており、不況をアメリカの大胆な改革を実施するための必要な条件と考えているようだ。

不況入りが一層鮮明になるアメリカ

やはりアメリカでは、これから深刻な不況が始まることを示すデータが時間とともに積み上がっている。不況入りは避けられない状況だ。

たとえば、生活必需品から高級品に至るまで米消費者の不安が全所得層に広がっているのだ。

低所得層の消費者については、2月末に「シカゴ経済クラブ」で行われたインタビューで、米小売り大手、「ウォルマート」のダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)が「予算の厳しい」顧客は節約を強いられていると述べた。彼らは「1カ月が終わる前に生活資金を使い果たす」ため、月末になると少量パックの商品を購入するのだという。

ファストフードチェーン大手の「マクドナルド」は直近の決算説明会で、同業界は今年「低調なスタート」を切っているとし、低所得層の消費者による需要低迷を一因に挙げた。「マクドナルド」によると、2024年10〜12月期の米ファストフード業界全体の低所得層の来店客による売上高は、前年同期比の減少率が2桁に達したという。

高所得層の状況がそれよりずっとましなわけでもない。大手行の「シティ」が自社のクレジットカード取引データを分析したところ、高級百貨店やネット通販を含む米消費者の高級品市場での支出は、2月に前年同月比9.3%減少し、1月の5.9%減から悪化した。

会員制倉庫型量販店の「コストコ・ホールセール」は、会費を払って利用するため顧客に比較的高所得の層が多い。だが同社は先週、牛ひき肉や鶏肉などの安価なタンパク質に需要がシフトしていると述べた。関税でインフレが加速すれば、消費者はさらにえり好みするかもしれないという。安売り大手の「ダラー・ゼネラル」は13日、高所得世帯に対する売上高がここ数週間で加速したと述べた。高所得者世帯は最近、より安価な選択肢を求めているという。

「シティ」の米国クレジットカードデータの分析によると、小売りの大半のカテゴリーで支出が落ち込んでいる。1-3月期の現在までの累計で、衣料品とスポーツシューズへの支出は前年同期比でそれぞれ12%と22%減少した。一方、食品やアフターマーケット(純正ではない)自動車部品、ペット用品などの分野でも減少がみられる。

これはほんの一例だが、時間の経過とともに米経済が景気後退に直面していることを示すデータが積み上がっている。もう少しすると、「FRB」も景気後退入りを正式に認めることになるかもしれない。

景気後退を容認するトランプ政権

しかしながら、こうした状況にもかかわらず、トランプ政権はまったく焦っていない。それどころか、不況を容認する姿勢を鮮明にしている。

大統領は通常、不況を避けるためにできる限りのことをするので、その言葉を口にすることさえ避ける。だが、ここ数週間、トランプ大統領と閣僚や顧問たちは、非常に異なるメッセージを発している。不況を積極的に容認する姿勢を明確にしているのだ。

Next: トランプ政権の認識は「アメリカは持続不可能」?日本への影響は…

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