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米国、ついに景気後退へ。長期投資家が狙いたい株・避けるべき株は?=栫井駿介

2025年3月現在、アメリカの株式市場は弱い動きを見せていて、現在景気が大きく悪化しています。また、アトランタ連銀の予測によると、2025年の第1四半期(1月〜3月)のGDPがマイナス成長になるとの予想も発表されました。このことから、アメリカはリセッション(景気後退局面)入りの可能性が考えられています。そこで今回はつばめ投資顧問が、アメリカの景気について解説します。また、このような景気が悪いときの投資戦略として投資すべき企業と避けるべき企業についても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

アメリカの株式市場が下げている理由

NYダウ 日足(SBI証券提供)

NYダウ 日足(SBI証券提供)

この1年間のダウ平均株価を見ると、トランプ政権誕生への期待から上昇傾向にありましたが3月に入って急に下落しています。
この下落の主な原因は、トランプ大統領の政策が経済にとって厳しいものだと明らかになってきたことです。

第1次トランプ政権時代は、株価の成長を重視し連邦準備制度理事会(FRB)に金利引き下げを求めるなど多くの政策を実施しました。
実際に、2016年にはじまった第1次トランプ政権で株価は上がり続けました。
それを踏まえて株式市場は、今回もトランプ大統領に期待して上昇していた背景があります。

ですが、今回のトランプ大統領の政策姿勢は前回とは若干異なっています。
また、もう1つの株価下落の原因として考えられるのがイーロン・マスク氏の動向です。

それぞれ見ていきましょう。

<トランプ政権の政策と影響>

トランプ大統領は前回と同様に「アメリカ第一」を掲げていますが、特に関税を大幅に引き上げ雇用をアメリカに取り戻すという方針を強調しています。

しかし、前回の政権時とは経済状況が大きく異なっています。
最も重要な違いは、インフレ(物価上昇)です。
コロナ後の大規模な金融緩和の影響で、物価が急激に上昇しています。
コロナ後は景気が回復し雇用状況も良好だったため、物価が上がっても経済は回っていました。
しかし、いまでは景気が悪化しているため物価上昇の負担が大きくなりすぎています。

このような状況で、関税政策が進められるとさらに問題が深刻化します。
なぜなら、アメリカの多くの商品が海外からの輸入に頼っているからです。
たとえば農産物はメキシコやカナダから、スマートフォンやPCは中国や台湾で組み立てられたものを輸入しています。
物価上昇に悩まされている中で、関税による価格上昇は消費者の負担になるでしょう。

このように、関税政策は米国企業だけを有利にするものではありません。
最終的に、コスト上昇分がアメリカの消費者に転嫁されることになり、これが経済に悪影響を与えることは明らかです。

前回のトランプ大統領なら、経済や株価への影響を考慮し影響が少なくなるような妥協点を見出したと思われます。
ですが、今回は関税政策を最優先し一時的な経済悪化もやむを得ないという姿勢です。
このため、株式市場は動揺し「今回のトランプ大統領は株価維持に熱心ではない」という認識から期待感が急速に薄れています。

<消費者行動の変化>

トランプ大統領の関税政策による影響で、人々が消費を抑えはじめています
これまでは、物価が上昇しても賃金が上がっていたため「物価は高くなっているが、給料も増えているから問題ない」という消費者心理がありました。
しかし、1〜2年前と比べて一部の商品価格が倍近くになっているケースもあります。
ウォールストリートジャーナルの記事では、「アメリカの消費者がタバコやスナックさえも買い控えている」と報じられています。

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出典:The Wall Street Journal「米消費者、たばこやスナックも買い控え メーカー悲鳴

結果として、コンビニエンスストアの販売数量が1年間で4.3%減少したとのことです。
これは、インフレによる消費者の買い控えの証拠ともいえるでしょう。

Next: イーロン・マスク氏も景気後退の原因?長期投資家はどう行動すべきか

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