日経平均株価は先週、米中通商動向を受けて大きく上下し、3万792円~3万4,639円の間で荒れ模様となった。今週(4/14〜4/18)はどう動くか?米国の半導体関連製品に関する関税緩和措置が伝わったことで、日本株は上昇して滑り出しているものの、詳細が不透明なため上値は重い。一方、為替市場では米国債の売りが進み、米ドル安・円高基調が強まる可能性が浮上。米中関係、主要企業の決算発表、そして米国の資本流出懸念が、今週の市場を揺さぶるカギを握っている。(『 馬渕治好の週次メモ「時の花」 馬渕治好の週次メモ「時の花」 』)
※本記事は有料メルマガ『馬渕治好の週次メモ「時の花」』2025年4月14日号の一部抜粋です。毎週いち早く馬渕氏の解説をご覧いただくには、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。市場急変時には号外の配信もあります。
今週(2025/4/14~4/18)の日経平均予想: 3万3,000~3万5,000円
(先週の予想:3万500~3万3,500円、実績値:3万792.74~3万4,639.39円)
前号の 当メルマガ 当メルマガ では、日経平均は月曜日(4/7)の下振れのあと「さらなる大幅な株価下落は見込みにくい」ものの、短期的には「株式市況は急落や急騰を交えうる」と述べた。残念ながら懸念した通り、先週の日経平均は大きく上下に荒れた。
今週初(4/14 月)の日本株は、米税関が先週末(4/11 金)の米国時間夜に、スマホ、PC、半導体製造装置などを、追加関税の対象から外す旨を通達したことを受けて、上昇して滑り出している。
ただ、こうした諸製品の関税がずっとゼロで済む、ということではなく、ABCテレビが4/13(日)に報じたラトニック商務長官の発言によれば、上記の製品群は製品ごとの関税の対象となる、とのことだ。
つまり、たとえば鉄鋼やアルミ製品は、品目として25%の関税が課されており、そのため相互関税の対象とはなっていない(品目別の25%の関税にさらに各国別の相互関税を加える、ということではなく、25%だけ)。半導体も既報のように、品目別の課税対象とする方向で検討が行われており、そのために半導体そのものも、先んじて相互関税の対象から外れている。
なお、こうして直接には半導体そのものが品目別関税の対象となる予定だが、半導体が電子製品に組み込まれて米国に輸入される場合、そうした電子製品に課税しないと半導体への課税方針の抜け道になる。したがって、半導体が使われているスマホやPCも品目別の課税対象として、半導体そのものと同時にこれから網をかける、との考え方により、今回相互関税の対象からは先行して外す旨が示されたとのことだ。
この場合、半導体を用いた製品のどれとどれが対象となるのか(スマホとPCについては対象となることが確実だろう)、また品目別の課税率は何%になるのかは、まだわからない。
ざっくり言えば、最終的な品目別課税率が相互関税率を下回れば、当該国の関連業界(あるいは当該国で生産して米国に輸出する米国企業)にはプラス、逆に上回ればマイナス、だと言える。とは言っても、半導体関連への品目別関税率が、対中相互関税率(145%)を上回るほどになるとは想定しがたく、中国企業や中国で生産する各国企業には安堵材料となる。
このため本日(4/14 月)の日本株は、当初は半導体関連を相互関税の対象から外すとの報を受けて前述の通り上昇したものの、まだ詳細が不透明だとして、上値が重くなってきている。
今週の世界株価の材料としては、米国で始まっている1~3月期の企業決算の発表が、金融機関から徐々に一般事業会社に移行してくることから、各企業の先行きの業績展望などが注視されよう。また4/16(水)のオランダのASMLホールディングスや4/17(木)の台湾のTSMCの決算発表も、半導体・半導体製造装置の株価だけではなく、世界株価全般に与える影響がどうなるか、といった点で、注目度が高いだろう。
全体観としては、まだ当面は投資家の警戒感も強く、主要国の株価は上下動の域は踏み出しにくいと見込む。
今週(2025/4/14~4/ 18)の米ドル円相場予想:140.00~144.00円
(先週の予想:143.50~147.00円、実績値:142.05~148.27円)
先週は、週途中までは米ドル高・円安の様相が濃かったが、週末にかけて米ドル安が進んだ。先週は一時は米債券市場も荒れたため、米株安、米債券価格安、米ドル安のトリプル安の様相だった。米国からの資金逃避が生じている可能性がうかがえる。
米債券安の背景としては、中国が米国債を売却しているとの観測などがささやかれているが、今後も米国からの資金逃避が進むかどうか(それによって一段と米ドル安が進行するかどうか)が注目されよう。
また、日米間で相互関税を巡っての政府間交渉がこれから進んでいくが、そこでベッセント財務長官が円高を求めるとの観測が浮上している。実際そうした円高要求が嵩むかどうかは別としても、投機筋の円買いのネタとして使われることがありうるため、しばらくは円高の様相が強まりうると予想する。
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