JA(農協)は、縦割りのピラミッド型の構造になっています。
底辺に位置するのは「地域のJA(農協)」、街中でよく見る「JA◯◯(地名)」といった具合です。
かつて全国に1万以上もあったJA(農協)ですが、だんだん減ってはいるものの、経営悪化で単独で存続できないJA(農協)は近隣のJA(農協)と合併することで、全国JA(農協)の空白地帯は存在しない状況ではあります。
どれほど“へんぴ”な山間・離島であっても、そこに人の営みがあれば、JA(農協)は何かしらのサービスや商品を提供しているのです。
各地域に存在するJA(農協)を束ねている組織は、その役割業務別の3つに分かれます。
<経済事業>
本業とも言える農業関連事業、組合員農家が生産した農産物を農家にかわって販売したり、組合員の営農や生活に必要な資材や物資を供給したりする役割を「経済事業」といいます。これが「JA全農」です。
<信用事業>
次に「信用事業」、組合員からの貯金の受け入れ、生産や生活に必要な資金の貸付、為替の取り扱いを主な事業とし、また、手形の割引、債務の保証、金・国債等の取り扱いも行います。主に銀行業務で、農林中央金庫(農林中金)がこの役割を担います。農林中央金庫は、農業従事者以外に、漁協・森組も会員となっています。「JAバンク」は全国に民間最大級の店舗網を展開しているJAバンク会員(JA・信連・農林中金)で構成するグループの名称です。「信連」とは、JA(農協)の信用事業をサポートする組織です。具体的には、都道府県単位の連合会組織として、JA(農協)と連携して金融サービスを提供したり、JA(農協)の事業運営をサポートしたりします。なんだか天下りの“受け皿”的みたいな、いろんな組織がたくさんあるように思えますね。
<共済事業>
そしてあと1つは「共済事業」、いわゆる「保険」JA共済ですね。病気やケガ、火災や自然災害などのリスクに備えて、組合員が相互扶助の精神で保障し合って、損害を回復し、農業経営と生活の安定をめざそうというものです。
さて、各事業ごとの採算は以下の通りです。
信用事業:黒字
共済事業:黒字
経済事業:赤字
令和5事業年度の内容が、農林水産省のホームページに記載されています。損益計算書によると、以下の通りです。
(令和5年事業年度)
事業総利益:1兆6,298億円
信用事業(銀行業務):6,846億円
共済業務(保健事業):3,697億円
経済事業(購買事業):2,753億円
販売事業:1539億円
部門別損益は以下の通りです。
信用事業:+2,379億円
共済事業:+1,053億円
経済事業:▲1491億円
つまり、農業本体である「経済事業」の赤字を、金融部門である「信用事業」「共済事業」で支えているという構図になっています。
郵便局も、本来の郵便事業を金融部門が支えていましたね。「信用事業」と「共済事業」……外資は欲しくはないですかね。
JAは民間ですので「民営化」という表現はありえませんが、農業に株式会社が参入することに反対している勢力は、外資の参入をおそれているということも強く訴えているようです。でも農業に株式会社参入を拒んでいる本当の理由は、もっと他のところにあるようです。
最後に、JA(農協)に関して触れなければならないことですが、JA(農協)の組合員数は令和5事業年度で1,021万3,000人、前年度に比べて5万9,000人(0.6%)減っています。
毎年、減っているのです。







