農家の戸別所得補償など、自民党は農家を守ってくれます。農家が大規模化してコストカットを図り効率的経営をされたら、そもそもの家族経営農家は減り、農業経営指導をしてくれるJA農協の存在意義が薄らいできます。
家族経営農家の数が、自民党の票の数になります。農業の株式会社化なんて“もってのほか”です。
家族経営の小規模農家 → JA農協 → 自民党
この流れの潤滑油が「自民農林族」議員なのですかね。
2015年の小泉進次郎農林部会長時代の農協改革に関して、その後、JA(農協)から支援を受ける自民党農水族の強い反発もあり、JA全農の株式会社化をもくろんだ農協改革は見送られ、JAグループトップである全国農業協同組合中央会(JA全中)の地域農協への監査権限はく奪といった骨抜き的な改革に終わったところに「JAの闇」を垣間見ることができます。
コメの適正価格はいくらか
今回のことでもう一つ触れておきたいことは、コメの適正価格についてです。
いま話題になっている備蓄米も、すでに買い取って備蓄しているものですから、市場で1,800円台で取引されようが3,000円台で取引されようが、生産者である農家にとっては、何にも関係ありません。
備蓄米の市場への放出は30万トン、日本の年間コメ消費量はおよそ796万トン、ほんのわずかの量なのですが、小泉大臣はこれでコメの流通価格は下がると豪語しています。
何事においても流通価格は「需要と供給」のバランスで決まります。
コメに関しては供給不足による販売価格の高騰が見て取れます。生産調整という農水省の農政政策の失敗が取り沙汰されていますが、流通において目詰まりがあることも指摘されています。
飲食店などが直接農家から買い取っていることで市場にコメが出回らないことや、投機筋が買い占めて価格高騰を狙っているという話もあります。
備蓄米放出で強制的に流通価格を下げることで、投機筋の買い占めているコメを市場に放出させる狙いが、小泉大臣にはあるのかもしれません。
でも市場価格は「需給」で決まります。
「平成の米騒動」と言われたのが、1993年の冷夏による大凶作をきっかけに発生した全国的なコメ不足です。翌1994年に深刻な状態となりました。低温と日照不足による自然災害によるコメ不足でした。
「令和の米騒動」といわれるものは、減反政策や農家高齢化、気候変動による影響など、複合的な要因で需給が逼迫しています。
どちらもコメ供給不足により、コメ価格が高騰しているのは確かです。
その後、2023年の猛暑などでコメの流通量が落ち込み、2024年夏から全国的に品薄状態となり、米価が上昇しました。
「平成の米騒動」のときは、自然災害でコメの供給量が極端に減りました。「令和の米騒動」では、農家側の供給量も減ったのでしょうが、流通の問題で市場に出回る量が減ったことも考えられます。
これがいったん流通の改善や投機筋の動向、直販体制の変化などで、市場に出回るコメの量が増えたらどうなるでしょう。
価格は一気に乱れます。







