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JAは本当に「悪役」か?米価高騰でも農家が儲からない“中抜きシステム”の闇と政府の思惑=原彰宏

JA共済は、農業従事者でなくても契約することができます。農業従事者でなくても、JA共済のバンクで住宅ローンを組むことができます。

農業従事者を「正組合員」、農業者以外を「準組合員」といいます。

令和5事業年度の「正組合員」の数は約385万人、「准組合員」の数は約636万人、正組合員の2倍近くです。

その組合員に対して、役員数は1万3,965人、職員は16万6,761人。減っているとはいえ、これだけの人数を組織としては抱えているのです。

組織を維持するだけでも大変です。そりゃあれだけ“中抜き”をして溜め込まないとやっていけませんわなぁ~。

組織を維持するための過酷なノルマ…

金融が農業事業を支えている……そこで気になるのが「ノルマ」の存在です。
※参考:「もはやパワハラ」JA共済の過酷ノルマ 国の是正策から1年、いまも続く「自爆営業」…職員は訴える<ニュースあなた発> – 東京新聞デジタル(2024年3月22日配信)

JAの「共済事業」、いわゆる保険業務において「自爆営業」なるものがあります。職員が不必要なJA共済の契約を、自腹で結ぶというものです。当然、国からの是正要請は出ているものの、過剰な営業ノルマの強要が今も続いているようです。

金融が農業事業を支えている……「貯金・年金・共済取れるまで回らす事」「数字が全てです」。もはや指示ではなくパワハラです。

そして組織図上、ピラミッドの頂点に位置するのが「JA全中」です。

一般社団法人 全国農業協同組合中央会(JA全中)は、わが国の農業協同組合(JA)が結集した組織です。組織・事業の枠を越えて連帯するJAグループの代表として、協同組合原則にもとづき運営されています。ホームページには「組織理念」として「JA全中は、組合員の願いである農業振興と豊かな地域社会の構築を実現するため、地域・事業の枠を越え、代表・総合調整・経営相談の3つの機能を誠実に果たします。」と書かれています。

「今のコメの価格は“決して高くない”」と発言したのが、JAのトップであるJA全中会長の山野徹代表理事です。ちなみに職員数は158名です。

農業関連事業の「経済事業」について触れておかなければならないことは、高いコストの農機具や肥料などを、農家はJA(農協)から買わされているということです。

「物価高」は、生産者(農家)側にとっては「コスト高」として利益を圧迫し、消費者側は「コスト高分の販売価格転嫁」として家計負担の増大に表れてきます。

農家にとっては、JA概算金が決まっているので、生産コストを下げて利益をあげたいところですが、コメの生産コストがおさえられないでいるのです。

小泉農水大臣が農林部会長に就任した2015年のときに、JA全農が農家に販売する肥料などの生産資材が町のホームセンターに比べて高いことなどを問題視していたという発言がありました。

この発言に、ことの真髄があるようですね。

農業関連の「経済事業」では、家族経営の農家もJA(農協)の機材を買わなければなりません。そのためのファイナンス、ローン付は全部JA(農協)がつけてくれます。なにもかもJA(農協)が面倒を見てくれるのです。

コメを作る、野菜を作ることに関しては“生産から販売”まで、農家の個人のライフプランに関しては“ゆりかごから墓場まで”、JA(農協)が全部面倒を見てくれるのです。

JA(農協)との関係が“がんじがらめ”になっていますね。

Next: 自民党に票が流れる仕組みとは?コメの適正価格はいくらか

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