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消費税は廃止しかない。財務省データで暴く財務官僚「亡国の過ち」=矢口新

なぜ消費税導入後に広義の所得税が急減したのか?

では、なぜ消費税導入後に広義の所得税が急減したのだろうか?ここで課税のベースとなる日本の名目経済成長率を見てみよう。

日本の名目GDP

日本の名目GDP

日本経済の規模は平成9年(1997年)にピークをつけた。この年の4月に消費税率が3%から5%に引き上げられているが、そのことが日本経済の成長を止めたようなことがあり得るのだろうか?

私は消費増税が日本経済低迷の主要因である可能性は、十分に考えられると見ている。上記のグラフの緑色の縦棒は個人消費だ。ご覧頂けるように日本経済の約6割を占める最大のエンジンだ。

消費税は基本的にここに課税する。取りっぱぐれがないので、財政再建には欠かせないと、財務省や与野党の有力者たち、多くの学者たち、経営者たちが主張しているところだ。

例えば、個人消費を分かりやすく100兆円で推移していたとしよう。これは企業の売上となるので、ここから企業は給与を払い、負債があれば利息を払い、法人税を払い、設備投資や、研究開発費などをねん出する。これが平成元年からは3兆円天引きされ97兆円に減ったことになる。

実際の経済成長はその後も続いたが、法人税収はその年にピークをつける。個人が支払う所得税収も2年後にはピークをつける。これは、すべての原資となる売上が97兆円(100%-消費税3%=97%)に減少したためではないのか?

そして、消費税率が3%から5%に引き上げられた平成9年(1997年)からは、企業の売上は5兆円天引きされ95兆円に減少した。日本経済そのものが縮小に向かうことになったのだ。

「官は公正で資金の使い方がうまい」という自惚れ

日本経済の規模が約20年前から縮小していること自体には、いくつかの要因が考えられる。少子高齢化労働人口の高齢化、そして円高による競争力低下などだ。しかし、日本経済の最大のエンジンである個人消費にブレーキをかけたことが、縮小に追い打ちをかけた可能性が高い。

では、天引きされた5兆円(現在は8兆円)はどこにいったのか?いったん国庫に入り、政府や官庁による公共投資社会保障費を含む支出(歳出)となった。

もし、これがうまく使われていたのなら、グロスの売上そのものは同じなのだから、経済成長が止まることはないはずだ。インフラ整備などの拡充でビジネスが効率的になり、社会保障が新たな労働や労働人口を作り出すことも可能だからだ。

しかし、国や地方自治体の資金の使い方を見ていると、政治家や官僚が正しい資金の使い方を知っているとは思えない。いちいち事例を挙げるのが嫌になるほど無駄に使われ、日本経済を縮小させることになった。

増税は、「民間よりも、官の方が公正で資金の使い方がうまい」という自信がなければ、日本経済にマイナスとなり、成長も社会保障もダメになる。

仮にこれまでの増税が、そういった自信の表れからだったとしても、20年近くも悪化させた事実には変わりがないので、今後も同じことを継続されては堪らない。増税後は成長が止まっただけでなく、税収すら減ったのだ。その間、歳出は増え続けたので、政府の借金は増え続けている。財政は悪化の一途だ。

それでも私は、政治家や官僚が、私利私欲や個人的野心だけで「政治生命をかけて」増税し、無駄遣いし、日本経済を駄目にしてきたとは、思いたくない。

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