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消費税は廃止しかない。財務省データで暴く財務官僚「亡国の過ち」=矢口新

ゾンビ企業を生かしも殺しもしない政策

法人税収の減少は、企業収益が増えても税収がそれほど増えない税制としたため、今後も大きく増える見通しが立たないが、他にも大きな要因がある。欠損法人、つまり、税金を納めていない企業の増加だ。

欠損法人

欠損法人

欠損法人は全法人約260万社の7割以上、資本金1億円超の法人の約半分を占めている。そして、それは平成元年の税制改革直後から基本的には増え続けている。

このところの世界経済の低迷を、市場資本主義の敗北だと解説する人たちがいる。一方で、世界の主要国はほぼゼロ金利やマイナス金利政策という市場資本主義ではあり得ない政策を長く続けている。未曽有の量的緩和も、市場に任せる経済から、政府が主導する経済になったことを象徴している。

つまり、市場資本主義は自ら崩壊したというより、大きな政府を望む各国の指導者たちに潰されかけている。

欠損法人が7割を超えることは、市場資本主義ではあり得ないことだ。それが長年生き続けていることは、ゾンビ企業を存続させる国の政策が行われていることを意味する。これがデフレの大きな要因であり、競争力低下、財政赤字拡大の1つの要因だ。

そして、それを負担しているのが消費税であり、ほぼゼロの貯蓄金利であり、年金、保険の超低利回りだ。どれもが、個人が負担する部分だ。つまり、日本国民の負担はかつてないほどに高まっている

上記、欠損法人のグラフが今更ながらに教えてくれるのは、ゾンビ企業が増えるにつれて、日本が、日本人が貧しくなってきたということだ。このままでは、国も個人もゾンビ化する。

一貫した個人から企業への所得移転

平成元年に始まった消費税の導入と、それに伴った法人税率の引き下げは、政府を仲介に、個人から企業への所得移転を意味する。

ほぼゼロ金利政策やマイナス利回りで、貯蓄や年金、保険資産を侵食し、ゾンビ企業を存続させることも、個人から企業への所得移転を意味する。

正規雇用から非正規雇用への転換も、個人から企業への所得移転を意味する。

その意味では、昭和末期以降の日本の経済政策は、一貫して個人から企業への所得移転を意味している。

個人と企業、どちらを優遇すべきかについては、あえて触れないでおこう。インフレ政策が狙っているように、企業を優先することで国が栄え、結果的に個人が恩恵を受けるのなら、意見の相違があっても、議論の余地があるからだ。

問題は、個人から企業への所得移転を進めたことで、個人資産が侵食されたことはもとより、日本経済そのものが縮小し始め、税収が急減し、国の財政が破綻状態となったことだ。優遇されたはずの企業も以前のような輝きがない。

つまり、この税制改革で得したのは、個人でも企業でも、国でもない。一部で富の独占があるのだろうが、少なくとも日本国内の大半が貧しくなった

にもかかわらず、政府、財務省、与野党の有力者たちは、インフレ政策を採り、財政再建を建前に消費税率の更なる引き上げを画策し、マイナス金利政策でゾンビ企業の更なる延命を図っている。

つまり、個人から企業への所得移転を更に押し進めようとしている。これだけの資料を用意している財務省が、これで財政再建ができると信じているとは思えないのだが。

Next: 日本の政治家と官僚は「飢饉でも年貢は取れる」と言っている

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