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バフェットはなぜ上昇し続ける米国株を「割安」と判断しているのか?=東条雅彦

ウォーレン・バフェットの発言の真意

バフェットはこのように発言していました。

「米国株はバブルの領域にない。金利と比較すればまだ割安な方だ。長期金利が7~8%程度に上昇したらバブルを警戒すべきかもしれない。米経済のダイナミズムは顕著で、しばらくはいかなる大統領のもとであっても順調に推移する」

現在、長期金利の目安となる米国10年債利回りは、2.3%(2017年4月10日現在)で推移しています。

米国10年債利回り(1988年1月~2017年4月)

米国10年債利回り(1988年1月~2017年4月)

この金利を見ると、経済全体の流れが見えてきます。2.3%という金利水準は歴史的にはかなり低い方です。つまり、景気サイクルを見れば、まだ景気回復の初期段階だということです。

米国の中央銀行であるFRBは最近、連続で利上げを実施しています。先月、ようやく1%に達しました。FRBはこのまま米国の好景気が続くようであれば、これからどんどん引き上げていくものと思われます。

各国の政策金利は、次の通りです。

2017年 世界各国の政策金利

2017年 世界各国の政策金利

南アフリカ共和国やトルコの政策金利はそれぞれ7%、8%に達しています。これはかなり高い金利水準です。政策金利は「短期金利」を意味するので、長期金利だったら、もっと高い金利になっています。

現在、両国の10年債利回りは南アフリカが9%、トルコが10%に達しています。お金のグルグル回転がかなり高速になっていることが伺えます。その点、米国は利上げを実施している最中とはいえ、政策金利は1%に到達したばかりです。まだ米国の「お金のグルグル回転」は遅いと判断できます。

  • 低金利……お金のグルグル回転に勢いがない
  • 高金利……お金のグルグル回転に勢いがある

長期的な視点と短期的な視点

米国の株価はリーマンショック(2008年)の大暴落から、ほとんど調整もないまま、上昇しています。そのため、短期的には暴落してしまうかもしれません。

バフェットはCNBCとの単独インタビュー(2月27日)の中で、「明日、20%値下がりする」可能性もあると話していました。一見、強気の発言と矛盾しているように見えますが、そういうわけではありません。

「米国株はバブルの領域にない。金利と比較すればまだ割安な方だ」という発言は、長期的な景気サイクルの観点から述べています。一方、「明日、20%値下がりする」可能性もあるという発言は、短期的な株式のボラディリティ(価格変動性)の観点から述べています。この点については混同しないように気をつけてください。

バフェットの言っている「金利と比較すればまだ割安な方だ」を意訳すると、次のようになります。

お金のグルグル回転に勢いがないので、今は景気回復の初期段階。通常、バブルはグルグル回転に勢いがある時に生じる現象ですよ

バフェットは常に長期的な視点に立って行動しているので、近い将来、短期的な暴落があってもまったく気にしないものと思われます。私たちもバフェットのように、長期的な視点に立って行動していきましょう。しっかりと安全域を確保した投資を実践している場合、短期的な暴落は逆にチャンスになります。

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ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』(2017年4月10日号)より抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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